イエローストーンに潜む巨大マグマ

2013.12.19
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超巨大火山が地底に眠る、イエローストーン国立公園の熱水泉「グランド・プリズマティック・スプリング」(2011年6月1日)。

PHOTOGRAPH BY MARK RALSTON, AFP/GETTY IMAGES
 アメリカのイエローストーン国立公園の地底に、想像を超える大量のマグマ溜まり(ホットスポット)の存在が明らかになった。噴火すれば地球全体を一変させる規模の超巨大火山(スーパーボルケーノ)は、海底を除けば唯一イエローストーンに眠っている。 研究責任者でアメリカ、ユタ州ソルトレイクシティにあるユタ大学のジェームズ・ファレル(James Farrell)氏は、「これまでの想定量の2.5倍を超える。ホットスポットが膨張したわけではなく、解析技術が進んだためだ」と述べる。

 12月12日にサンフランシスコで開催されたアメリカ地球物理学連合秋季大会で発表された研究成果は、超巨大噴火が起きた場合の影響予測に大きな変更を迫ることになるだろう。

 アメリカ地質調査所(USGS)によると、前回の大噴火は約64万年前。もし次に噴火した場合、モンタナ州、アイダホ州、ワイオミング州の全域に1000立方キロメートル以上のマグマが流れ、地球規模の気候変動が起きると考えられている。

「3回の噴火の間隔は約80万年になる。次が迫っているかどうかはわからない」とファレル氏は話す。

◆算出されたマグマ量は予想以上

 ファレル氏のチームはホットスポットの大きさを算出するため、周辺に設置された約40台の地震計のデータから1984〜2011年分を解析した。

 イエローストーンは地震の多発地帯にあり、その回数は年間1500〜2000に及ぶ。多くは体感できない小規模な揺れだが、「1959年にはマグニチュード7.3の大地震が発生している」と同氏は指摘。

 チームは、地震波が震源地から地上の地震計に到達するまでの時間をソフトウェアで算出、波の速度が変化するポイントを特定した。波の伝播速度はマグマ部分で遅くなるので、ホットスポットの地図を作成できる。

「人体内部をスキャンする医療機器に例えても良い」と同氏。

 イエローストーンのホットスポットは垂直方向に広がっていると考えられていたが、地図からは北西から南東にかけて傾斜している様子が判明。縦横がそれぞれ約90キロと約30キロで、深さは約10キロ。この大きさは、今までの想定よりももはるかに大きい。

 溜まっているマグマは、約64万年前の超巨大噴火に相当する量だという。

 一度空になったホットスポットにマグマが長い時間をかけて溜まると、次の噴火につながると考えられている。

◆地球への影響

 イエローストーンのスーパーボルケーノが噴火すれば、影響は地球全体に及ぶ。大気中に舞い上がった大量の火山灰や粉石は、中西部のグレートプレーンズを越えて降り積もる。

 さらに、大気中に浮遊する火山の粒子状物質やガスが太陽光を遮って、地球全体の気温が低下するおそれがある。

 噴火を止める手立てはないが、少なくとも観測装置を多数配置して事前に警報を鳴らすことは可能だとファレル氏は考える。

「マグマが浅部地殻にまで上昇し異変につながれば、1週間から1カ月前にわかるはずだ」。

PHOTOGRAPH BY MARK RALSTON, AFP/GETTY IMAGES

文=Ker Than

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