アメリカの空港に大量のフクロウが集結

2013.12.17
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アメリカ、ニュージャージー州、エドウィン・B・フォーサイス国立野生生物保護区のシロフクロウ(12月4日)。

Photograph by Vernon Ogrodnek, The Press of Atlantic City/AP
 アメリカ北東部の空港が難題を抱えている。あの「ハリー・ポッター」で有名になったシロフクロウが、安全な生息地と勘違いして滑走路に集結しているのだ。フクロウと空港利用者、どちらにとっても憂慮すべき状態に違いない。 今年の冬は、かつてないほど大勢のシロフクロウが、夏季生息地の北極圏からアメリカの北東部や五大湖周辺の広い範囲に南下。今後も波状的に押し寄せてくると予想されている。

 正確な数は不明だが、記録的な規模であることは間違いない。専門家も首をひねっている状態だ。

◆鳥と飛行機

 アメリカ、ニューヨーク州イサカにあるコーネル大学鳥類学研究所の鳥類学者ケビン・マクゴーワン(Kevin McGowan)氏は、「滑走路はシロフクロウにとって格好の休み場所だ。空に向かって開放されているからね。まるで誘われるようにやって来る」と話す。「ニューヨーク市のジョン・F・ケネディ国際空港やラガーディア国際空港、ニュージャージー州のニューアーク・リバティー国際空港などは、1年の大半を過ごす広大な北極ツンドラに見えるのだろう」と、アメリカやカリブ海で冬を過ごすシロフクロウを代弁する。

 民間航空機や軍用機を問わず、飛行機と鳥は相性が良くない。両者が衝突するケースや、鳥が飛行機のエンジンに吸い込まれる「バードストライク」は非常に危険で、年間3億〜7億ドル(約310億〜720億円)の被害をもたらすといわれている。

 事故データを収集しているアメリカ連邦航空局(FAA)によると、野生生物が航空機に衝突した記録は10年間で12万件を超え、大半は鳥類だという。ただし、研究者の間では、実際の件数はもっと多いといわれている。

◆危険性

 通常は鳥が大きなダメージを受けるバードストライクは、時に航空機の墜落につながる場合もある。2009年、USエアウェイズの旅客機がニューヨーク市のハドソン川に不時着水した事故は記憶に新しいところだ。

 幸い死者は出なかったが、過去数十年の間に約250人がバードストライクによって命を落としている。墜落事故の被害と比べれば必ずしも大きな数ではないが、特に空の過密化が懸念されている現在、やはり大きな悩みの種となっている。

 エンジンに吸い込まれる鳥はカモメやハトなどがほとんどで、群れで行動しないシロフクロウが巻き込まれるケースは少ない。「しかし体が大きいため、大事故になる恐れは十分ある」とマクゴーワン氏は話す。

◆回避策

 シロフクロウを空港から追い出すのは至難の業だ。

「捕食者のシロフクロウは、ほとんど物怖じしない。例えば、騒音発生装置で追い立てるような通常の方法は役に立たない」。

「わなで捕らえて、別の場所で放つ」。これが現在の最も有効なアプローチだ。マサチューセッツ州ボストンのジェネラル・エドワード・ローレンス・ローガン国際空港などでは、定期的にこの方法を実施している。

 マクゴーワン氏は、「足環を用いた追跡調査から、160キロ離れた場所で放てば帰ってこないことがわかっている」と語る。「ただし、全長50〜65センチもあるシロフクロウの体力は侮れない。数も増え続ける一方なので、捕まえるにはかなりの覚悟が必要となる」。

◆森の賢者

 そもそも大量にシロフクロウがやって来た理由については、主要なエサとなるレミングが北極圏で減少した可能性や、若い個体の生息地争いが活発化したなど諸説あるが、まだ何もわかっていない。

 印象的な翼、金色の眼、大きくて丸く、白いふわふわの羽毛が印象的なシロフクロウは、バードウォッチャーの間でも人気の的だ。バードストライクが頻発したジョン・F・ケネディ国際空港で、銃を用いた駆除が実施されたときには市民から抗議が殺到した。

 最後にマクゴーワン氏の提案を記そう。「非常に難しい問題だが、まずは関心を持ってほしい。日常からすれば、シロフクロウはまるで異世界の存在かもしれない。でも彼らは敬意に値する生き物なんだ」。

Photograph by Vernon Ogrodnek, The Press of Atlantic City/AP

文=Jennifer S. Holland

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