すでに活躍中の無人機、5つの現場

2013.12.03
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購入品をわずか30分で届けるというアマゾンの「オクトコプター」。しかし、無人機の非軍事利用はこれ以外にもある。

Photograph courtesy of Amazon
 アマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏は12月1日、出演したCBSの番組「60ミニッツ(60 Minutes)」で、ネットで購入された品物をわずか30分で届けられる無人機を同社がテストしていることを明らかにした。 8枚の動翼で飛ぶ同社の無人機「オクトコプター」は、最大重量5ポンド(約2.3キロ)の荷物まで扱えるように設計されている。アマゾンでは、荷物の約86%がこの重量の範囲だ。プロジェクト名「Prime Air」。4〜5年以内に実際に空を飛ぶようになるだろうとベゾス氏は予想する。

 技術面、安全面、物流面のハードルはさておき、こうしたプロジェクトは米連邦航空局(FAA)の承認がないと米国では違法になってしまう。FAAは、無人航空機の民間利用を厳しく制限している。

 国際無人機協会(AUVSI)の広報担当者ベン・ギーロー(Ben Gielow)氏は、アマゾンによる刺激的な提案は無人航空システム(UAS)の将来性を示すとしながらも、このような航空機の飛行は、少なくとも当面は、操縦者から見える範囲内でしかFAAには許可されないだろうと話す。

 この分野は、オクトコプターなどの注目を集めるプロジェクトによって前進するかもしれない。ギーロー氏は、「米国では、すべての商業利用が制限されているため、一般の人々は大きくて高価な軍事利用のほうになじみがある。こうした小型の無人機が自分たちの役に立つかもしれないことを、知らないのではないだろうか」と話す。

 無人機は何に使われるのか? ここでは、すでに実績のある非軍事の用途を5つ紹介する。

◆ 1. ハリケーンの観測

 無人機ならば、人命を危険にさらすことなく嵐の中心に突入することが可能だ。

 翼幅35メートルのグローバルホーク(Global Hawk)は、飛行時間30時間、飛行距離1万7700メートルを誇る無人機だ。嵐の中に入り、とどまって有益な観測を行うことができる。有人機にはできないことだ。

 また、フロリダ大学のチームは別のアプローチを採用している。全長約15センチの無人機の群れをノートパソコンで操るという。数百機単位で風や水の流れに乗り、最小限のパワーで大嵐を通り抜けデータを収集する。水中を進むこともできる。

 人間にはとうてい無理な方法で流れに身を任せ、温度、圧力、湿度、および位置に関する報告を行う。科学者はその報告を基に、ハリケーン内部における風と水の力を理解することができる。

◆ 2. 3Dマッピング

 小型で軽い無人機は、単なる模型飛行機のように見えるかもしれない。しかし、地形調査に使えば大量のデジタル画像を持ち帰ることができる。それらをつなぎあわせて、3D地図を作ることが可能だ。

 スイスのソフトウェア会社Pix4Dの共同創業者、オリビエ・キュング(Olivier Kung)氏は5月、スイスのローザンヌで開催されたTEDxで演壇に立ち、「ボタンを押すか、手で放つと飛んでいく。遠隔操作は必要ない。道案内はGPSが行い、安全に作られている」と語った。

 Pix4Dのソフトウェアは、無人機の画像から3D地図を作成する。キュング氏によると、こうした技術は、ハリケーン「サンディ」の被害を受けたハイチでの救助活動、広範囲に及ぶ作物と農場の管理、露天掘り鉱山における変化の監視、安全対策を目的とした祭の群集の大きさの監視など、すでに広く応用されている。

◆ 3. 野生生物の保護

 米国政府はすでに、国土とそこにすむ種の保護に無人機を活用している。

 AUVSIのギーロー氏は6月にこう語った。「米国内務省、国土地理局、およびアメリカ地質調査所がUAVを使っている。主に、小型偵察機レイヴンなどの余った軍用機を使い、野生生物の数の監視や、土地管理を目的とした道路と湿原の地図作成などを行なっている」「こうした仕事は、UAVによってやり方が根本的に変わるだろう」。

◆ 4. 農場での活用

 ギーロー氏は6月、「農業こそがUAVの有力な市場になる」と説明した。「日本では20年前から、ヤマハ発動機の無人ヘリコプターRMAXが飛んでいる。日本は農地の多くが急斜面にあるが、RMAXならば0.4ヘクタールの土地に5分で散布できる。これはトラクターでは極めて困難であり、不可能と言ってもいいかもしれない」。

 精密農業では、技術を駆使して農場を監視し、収穫増と経費削減を図っている。ギーロー氏によると、農薬、水、肥料を正確に散布することは、環境に優しいうえ、農家の利益にもなる。無人機は、必要な場所を割り出すのにも、そこへ散布するのにも役に立つ。

◆ 5. 捜索救助

 2013年5月に、カナダのサスカチュワン州で起きた自動車事故は、操作救助用の無人機によって初めて人命が救われた例かもしれない。

 深夜、人里離れたところで起きた転倒事故に、カナダ連邦警察が駆けつけたところ、混乱した運転手はすでに現場を離れていた。地上からの捜索でも、暗視装置を備えた救急ヘリコプターの捜索でも、この男性を発見することはできなかった。

 しかし、男性の携帯電話の発信が居場所を特定するヒントになった。カナダ連邦警察が、熱感知器を搭載した無人機、ドラガンフライヤーX4-ES(Draganflyer X4-ES)を出動させ、男性を発見した。その日、夜になると屋外は氷点下に冷え込み、そのままでは命を落とす恐れがあった。

Photograph courtesy of Amazon

文=Brian Handwerk

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