トリケラトプスのツノは決闘用だった

2009.01.28
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従来、古生物学者の間では「トリケラトプスのツノは異性を引き付けるために使われていた」という学説が主流であった。しかし、2009年1月に発表された研究によると、ツノが仲間同士の決闘で使われていたことが最新のデータで判明したという。

Image by Lukas Panzarin, courtesy of Raymond M. Alf Museum of Paleontology
 最新の研究によると、トリケラトプスはツノを使って仲間を打ち負かしていたという。 恐竜は頭部に風変わりな構造を持っているものが多い。種によってツノやトサカ、コブなど形状はさまざまだが、その機能については常に論争の的であった。

 現在の有力な学説の1つは、「ツノなどは性的ディスプレー(誇示)のために使われた」というものだ。この学説を支持する古生物学者は、ヘラジカなどツノの大きなシカのオスがメスに対してツノを誇示するのと同じように、恐竜の頭部構造も異性の気を引くためのものであったと論じている。大きなツノを生やし、頭の重さにも耐え得るオスの方が優れた遺伝子を持っている可能性が高いというわけだ。

 異性へのディスプレーが目的であるのか定かではないが、現代のヘラジカは仲間同士の決闘でもツノを使い、ときには相手に重症を負わせることもある。

 今回の最新研究は、白亜紀(1億4400万~6500万年前)に生息したトリケラトプスの場合も事情はそれほど変わらず、おそらくツノには決闘とディスプレーの二重の目的があった可能性が高いとしている。この研究では、ディスプレー目的という説について肯定も否定もしていないが、決闘が存在したと信じるに足る証拠が提示されている。

「決闘目的を弁護する側は、現代の動物で頭を付き合わせる戦いが見られることから、それを状況証拠にトリケラトプスなどの角竜類も同じことをしていたはずだと主張してきた。私たちは、化石記録の中に実際の物的証拠が存在するのではないかと考えた」と、研究チームのリーダーでアメリカのカリフォルニア州クレアモントにあるレイモンド・M・アルフ古生物学博物館のアンドリュー・ファルケ氏は話す。

 トリケラトプスは頭部に3本のツノを持っている。目の上の部分に長いツノが2本あり、鼻に短いツノが1本ある。また、後頭部に沿って「フリル」と呼ばれる盾のような骨性構造が広がっており、首を保護している。

 ファルケ氏の率いる研究チームは、トリケラトプスが決闘目的でもツノを使っていたのであれば、頭蓋骨に傷が発見できるのではないかと考えた。そして、53個のトリケラトプスの頭蓋骨を調査し、同様の分析をセントロサウルスの頭蓋骨に対しても行った。セントロサウルスもツノとフリルを持つ恐竜で、トリケラトプスの800万~1000万年前に同地域で生息していた。

 セントロサウルスは鼻に長いツノが1本あり、目の上の部分に小さなツノが2本ある。トリケラトプスのツノは武器のように見えるが、セントロサウルスの場合、武器としては明らかに非力に見える。セントロサウルスが相手に傷を与えようとしても、かなり苦労するはずだ。

 そこで、研究チームは、「セントロサウルスのフリルは、トリケラトプスに比べて傷が少ないだろう」という仮説を立てた。そして、2種の恐竜について「鱗状骨(りんじょうこつ)」と呼ばれるフリル特有の骨を調査し、思惑通りトリケラトプスはセントロサウルスに比べて傷の数が10倍あることを発見した。

 今回の最新研究は、27日のオンラインジャーナル「PLoS ONE」誌に掲載されている。

「2種の恐竜でこれほど明確な違いがあることが判明し、私たちの考えが裏付けられた。セントロサウルスとトリケラトプスは頭部構造を異なる方法で使用していたと考えられる」とファルケ氏は話す。

 カナダにあるカルガリー大学の古生物学者ダーラ・ゼレニツキー氏は、今回の研究を受けて反論する。「角竜類がツノとフリルをどのように使っていたのかは誰もが興味を持っている。今回のように統計的手法でその機能に関する仮説を検証するのは素晴らしいことだ。ただし、仲間同士の決闘で使われたことが立証されたとしても、ディスプレーやほかの種からの防衛など、ほかの用途にも使われていた可能性は排除されない」。

 研究チームのファルケ氏は「ツノをめぐる疑問にすべて答えるには化石標本がまだ不足している。トリケラトプスをはじめとした角竜類がツノとフリルをどのように使っていたか、その判決が出るには当分時間がかかるだろう」と話す。

Image by Lukas Panzarin, courtesy of Raymond M. Alf Museum of Paleontology

文=Matt Kaplan

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