ロシアの隕石、空前の規模の爆発

2013.11.07
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チェリャビンスク隕石の空中爆発を再現した3Dシミュレーション。この100年で最大とされる隕石衝突事故の衝撃波の強大さが見て取れる。

Illustration by Andrea Carvey, Mark Boslough & Brad Carvey
 今年2月ロシア中部の上空で爆発した隕石は、太陽の30倍の明るさを放ち、人々に火傷を負わせ、この100年で最も大きな衝撃を地球に与えたという分析結果が報告された。 2013年2月15日にウラル山脈東麓の都市チェリャビンスクの上空で発生した隕石の“空中爆発”。そのエネルギー総量は500キロトン以上で、将来同じような小型の小惑星が爆発する可能性はこれまで考えられていた以上に高いと、科学者たちは警鐘を鳴らす。

 チェリャビンスク隕石に関連する3件の分析調査の結果が「Science」誌と「Nature」誌に発表された。調査は、衛星、地震計、車載カメラ、損害調査、小惑星の破片から得られたデータを使って行われた。

 その際、隕石衝突の国際研究チームによって、直径約20メートルの小惑星が時速6万8400キロで大気圏に衝突する様子が再現された。

「隕石の発する光によって火傷を負った目撃者もいると聞いている」と、「Science」誌の研究論文の共同執筆者でカリフォルニア州モフェットフィールドのNASAエイムズ研究センターに所属するピーター・ジェニスケンス(Peter Jenniskens)氏は話す。

「単に窓が割れたというだけでなく、窓枠が建物の中に押し込まれた状態になっていた。非常に強い“衝撃波”で、人がばたばたと倒れるほどだった」と、ジェニスケン氏は「Science」誌のポッドキャストで語っている。

◆隕石の衝撃

 落下の際、隕石はまず地球の約95キロ上空で衝撃波を発した。その後、次第にエネルギーと明るさを増していき、やがて燃えつきて、分裂を開始した。

 カナダにあるウェスタンオンタリオ大学のピーター・ブラウン(Peter Brown)氏の主導のもと行われた「Nature」誌の研究によると、隕石は上空約27キロで分裂したという。

 その際に放出された爆風が検出された範囲は、隕石の周囲127キロにおよんだ。

 中央ロシア一帯に破片が降り注ぎ、チェリャビンスク近郊にあるチェバルクリ湖では湖面を覆う厚さ70センチの氷に直径7~8メートルの穴が開いた。最近になって、チェバルクリ湖で600キログラムの隕石の破片が発見された。

◆隕石はどこから来たのか

 チェコ科学アカデミーのジリ・ボロヴィチカ(Jiri Borovicka)氏主導による「Nature」誌の研究では、チェリャビンスク隕石は地球近傍小惑星(NEA)1999 NC43から分離した破片である可能性が高いと見ている。1999 NC43は太陽の周りを回る直径2.2キロほどの小惑星で、数年ごとに地球の軌道に接近する。

 1999 NC43自体は地球に害を与えることはないと見られている。しかし、120万年ほど前にこの小惑星に何らかの物体が衝突し、その際に分離した破片の1つがチェリャビンスク隕石だとする分析結果が報告された。

 モスクワにあるロシア科学アカデミー(RAS)のオルガ・ポポワ(Olga Popova)氏主導による「Science」誌の研究は、「地球近傍の小惑星帯に残りの破片が今も存在している可能性がある」と結論づけている。

 つまり、破片が再び地球に落下する可能性もあるということだ。

◆空中爆発の脅威

 同じ懸念は、ブラウン氏主導による「Nature」誌の分析からも見て取れる。それによると、これまでに発見された10~20メートル(チェリャビンスク隕石と同等の規模)の小惑星は500個程度に留まっているという。

 しかし、地球近傍ではこのような小さな小惑星が2000万個ほど周回していると考えられる。

 だとすれば、チェリャビンスク隕石や1908年のツングースカ事件のような空中爆発が今後また起こる可能性は一気に高まるとブラウン氏は見ている。

 ツングースカの爆発の規模ははるかに大きなもので、1万~5万キロトンの爆風によりシベリアの森林が数百キロにわたってなぎ倒された(ちなみに、広島型原爆のエネルギー量は約15キロトン)。

「チェリャビンスク隕石は、空中爆発とその発生頻度の新たな分析の扉を開くものだ」とマサチューセッツ工科大学(MIT)の隕石衝突の専門家、リチャード・ビンゼル(Richard Binzel)氏は話す。ビンゼル氏は今回の研究には参加していないものの、これらの一連の研究を、これまで議論が繰り返されてきたロシアのチェリャビンスク隕石の大きさと威力を決定づける“最終報告”だとしている。

Illustration by Andrea Carvey, Mark Boslough & Brad Carvey

文=Dan Vergano

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