地球の生命、高温化で28億年後に死滅?

2013.10.29
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太陽のコロナ質量放出(CME)。地球の生命の源となっている太陽だが、新たな研究によると、今から28億年後には地球上の全生命を死滅に追い込むという。

Image courtesy SDO/NASA
 今から28億年後には地球上の全生命が死滅に追い込まれるという、厳しい現実をつきつける研究結果が発表された。 現在、地球に住む生命にとっては快適な温度が保たれているが、今後の進化の過程で、太陽は温度を上昇させるとみられる。今後50億年以内に、核融合に必要な燃料を使い果たした太陽は「赤色巨星」と化して膨張し、我々の住む地球もいずれ飲み込まれるという。

 しかし、現在地球に生息する生命体は、太陽が赤色巨星の段階に達するはるか前から、上昇する気温に影響を受けるとみられる。では、地球上の生命が熱さに耐えられず、死滅する時期はいつになるのだろうか? イギリス、スコットランドにあるセントアンドリューズ大学の宇宙生物学者ジャック・オマリー・ジェームズ(Jack O'Malley-James)氏が率いる研究チームは、この問題の検証を行った。

 研究チームは気温や液体の水の存在量、さらには食物などの指標を用い、地球の生物圏について将来の居住可能性を検証、すべての生命が死滅に至る過程を示した。

 さらに同チームは、はるかかなたの異なる恒星系に生まれた文明が生命の痕跡を探した場合、地球の「バイオシグネチャー(生命存在の証拠)」がどのような姿に映るかについても分析した。

◆最初に死滅するのは植物

 研究チームはまず、はるか未来の長期的な気候変動を予測した。これによると、地球の気温がゆっくりと上昇し始める中で、水蒸気の発生量が増加し、大気中の二酸化炭素が徐々に減少していくという。

 植物は光合成をエネルギーの源としており、この過程には二酸化炭素が必要となる。ゆえに、大気中から完全に二酸化炭素がなくなれば、植物は大きな打撃を受けるはずだ。今回の研究によると、地球上の生命が死滅する最初の兆候は、今から5億年後、地球全体の二酸化炭素濃度が下がり、比較的耐性の弱い植物が姿を消すあたりから現れ始めるという。

 その後はさらに多くの植物の種が死滅し、これらの植物をエサや酸素の供給源としている動物も後を追うとみられる。

「植物の個体数が減少すると、生命維持に必要なこれら2つの要素(エサと酸素)が次第に不足していく。その後の数十億年の間に、植物の死滅と並行する形で動物も最期の日を迎えるだろう」と研究論文では述べている。

◆最後に残るのは微生物

 そして今から約28億年後までには、地球上に残された生命体は、微生物の中でも極限環境に強いものだけとなるという。

 しかし地球ではその後も容赦ない高温化が続き、これにより海が干上がると、暴走温室効果が発生する。すると地球の気温はさらに急速に上昇し、液体の水はごくわずかしか存在しなくなるはずだ。

「この状況に対応できるのは、最も過酷な環境に耐えうる微生物のみだろう。しかし気温が、DNAが崩壊する温度である摂氏約140度に達すると、こうした生命体ですら生きていられなくなるはずだ」とオマリー・ジェームズ氏は付け加えた。

◆地球外生命体の探査に役立つ可能性

 研究チームでは、今回の発見が、人類による地球外生命体の探索にも役立つのではないかと期待している。今後、太陽系外の惑星の大気組成をより詳細に分析することが可能になった際には、生命存在の証拠を持つ惑星の候補数を増やすことにつながるというのだ。

「居住可能環境の発達過程で末期にある惑星は、地球上で現在知られているような生命の痕跡のみを探している場合には、生命が存在していなかったように見えるかもしれない」とオマリー・ジェームズ氏は指摘する。

「生命が現在の地球上で暮らしている生命体とは違う痕跡を残すとしたら、どのようなものになるかを把握すれば、これまで見過ごされていた惑星につていても、生物の存在を裏付ける証拠を発見するのに役立つ可能性がある」。

◆死滅の時期はさらに遅くなる可能性も

 今回のモデルは我々の住む地球に暗い未来が待っていることを示すものだが、オマリー・ジェームズ氏率いる研究チームでは、この未来予測はかなり短めに見積もったものだと考えている。過酷な環境に置かれた際に生命が示す対応については、未知の部分が多いとオマリー・ジェームズ氏は指摘する。

「このような将来の極端な環境変化に対して、生命体がどのような進化の妙技を備えているのかを予測するのは、不可能とまでは言わないが難しい」と同氏は認めている。

 しかし、今回の研究においても、地球上の生命は生まれつき変化に対する耐性が非常に高いことに疑いの余地はない。過去を何らかの手がかりとするなら、我々には心強い事実がある。大規模な環境変化や大量絶滅を経てきたとはいえ、生命はその誕生以来、一度も地球から完全に消え去ったことがないのだ。

「地球上の生命がいつかは死滅すると知ると暗い気持ちになるが、想像を超えるほど長い間、そのようなことは起きないという事実を考えれば、かなりの安心感を得られるはずだ」とオマリー・ジェームズ氏は述べている。

 今回の研究は「International Journal of Astrobiology」誌への掲載を許可され、コーネル大学図書館が運営するWebサイト「arXiv.org」にも10月17日付で提出、公開されている。

Image courtesy SDO/NASA

文=Andrew Fazekas

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