ボイジャー1号の太陽系外到達を確認

2013.09.13
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NASAの双子の宇宙探査機ボイジャー1号と2号の大まかな位置を示す想像図。

Illustration courtesy Caltech/NASA
 宇宙探査機ボイジャー1号がすでに太陽系を脱出していたことが、ようやく公式に確認された。 ボイジャー1号は1977年に打ち上げられ、木星と土星の近傍を通過し、現在は太陽から約187億キロ付近を飛行中だ。人工物として初めて星間空間に突入したことになる。長らく期待されていたこの記録の達成がこのほど裏づけられ、「Science」誌オンライン版に9月12日付で論文が掲載されるとともに、同日のNASA本部のブリーフィングでも発表された。 「ついにやった。星間空間に到達した」とボイジャー計画の研究者でカリフォルニア工科大学に籍を置くエド・ストーン(Ed Stone)氏はブリーフィングで話した。

 NASAの説明によると、ボイジャー1号が太陽系外に突入したのは2012年8月25日のことと見られる。これは具体的には、ボイジャー1号が太陽から放出される太陽風の届く領域を脱して星間空間に突入したことを意味する。

「人工物を初めて星間空間に送り出したというのは途方もないことだ」と、論文の主著者でアイオワ大学のドナルド・ガーネット(Donald Gurnett)氏は言う。

◆「太陽系の端」はどこ?

 太陽風とは、太陽の表面から吹き出す高エネルギーの粒子のことで、時速160万キロというスピードで宇宙空間に放出されている。

 恒星間の空間には、これより低温の荷電粒子が分布していて、これを「星間風」と呼ぶ。2004年以降、ボイジャー1号は太陽風と星間風が混合する領域を飛行中だ。

 太陽風の到達範囲は正確にはどこまでか、そして星間空間はどこから始まるのかについては、宇宙科学者の間で40年以上もの間議論が続いていて、結論は出ていないとストーン氏は言う。

 その答えを見出すため、研究者らはボイジャー1号に搭載されているさまざまな装置を用いて、磁気および電気的活動を間接的に計測している。

 太陽系と星間空間の境界を特定するカギの1つは、荷電粒子の密度の違いである。太陽風と星間風では、星間風のほうが約50倍も荷電粒子の密度が高い。

 昨年10月と今年4月の2回、大規模な太陽風がボイジャーに到達した。ガーネット氏らのチームはこの際の数値を確認し、ボイジャー周辺での電気的活動の変化は、荷電粒子の密度の高い星間空間への移行を反映したものだと報告した。

 この観測結果を利用して、研究チームではボイジャー1号が星間空間に突入したのは2012年8月25日のことと推定した。

 ボイジャーが星間空間に突入したらしいことは、昨年のうちに間接的な計測結果によって分析されていた。今回の報告はそれにさらなる裏づけを与えるものだ。

 ストーン氏は今回の研究には関与していないが、この報告を説得力のあるものと見ている。「2度の大規模な太陽風という自然の恵みのおかげで、ボイジャーがすでに星間空間にあることが確認できた」。

◆驚きの研究結果:銀河磁場と太陽磁場の向きは同じ

 NASAはこれに先立って、銀河系の磁場は太陽磁場と同じ方向を向いているらしいことを発見しており、専門家の間に驚きが広がっている。というのも、これまで一般的には、銀河磁場は太陽磁場とは別の向きだと考えられていたからだ。

 両者の方向が違っていれば、太陽系と星間空間の境界の特定に利用できたが、方向が一致していたためにこの試みはうまくいかなかった。

「まだ研究すべきことがたくさんあるというのが、この結論から言えることだと思う」とボイジャー計画の研究者スタマティオス・クリミギス(Stamatios Krimigis)氏は言う。クリミギス氏はジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所に在籍し、銀河磁場と太陽磁場の向きの一致について、昨年発表している。

 クリミギス氏は今回の研究結果を「非常に説得力がある」ものだと言う。

「1957年に(人類初の人工衛星である)スプートニクが私たちを地球の大気圏外へ連れて行ってくれたのと同じような形で、ボイジャーは今、私たちを太陽圏の外へ連れて行こうとしている。宇宙飛行を実現してからの短期間に、かなりの成果を上げた」とクリミギス氏は言う。

 搭載されているプルトニウムバッテリーの寿命を考えると、ボイジャー1号からの信号は2025年頃を最後に、地球上では確認できなくなるだろうとストーン氏は言う。ボイジャー計画のマネージャーでNASAジェット推進研究所(JPL)のスザンヌ・ドッド(Suzanne Dodd)氏によると、それから4万年後には、へびつかい座の恒星まで1.7光年(約16兆キロ)の地点を通過するという。

 ボイジャーは双子の探査機で、2号もまだ稼働中だ。木星、土星、天王星、海王星の観測を行い、現在は太陽から約154億キロ付近を飛行している。

「このミッションのこれまでの40年間は本当にワクワクしたし、今後の10年も同様にワクワクするものになるはずだ。私たちがこれまで到達したことのない領域を探査しているのだ」とストーン氏は言う。

Illustration courtesy Caltech/NASA

文=Dan Vergano

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