再生能力を持つ生物、代表5種

2013.09.02
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メキシコサラマンダー(アホロートル)。

Photograph by Stephen Dalton, NHPA/Photoshot, National Geographic Stock
 子どもの頃、トカゲを捕まえたと思って手を開いたら、尻尾だけがピクピク動いていてびっくりした。そんな体験をお持ちの方もいるのではないだろうか。 一部のトカゲなどの生物は、体の一部分を失っても、見事に復元する能力を備えている。残念ながら私たち人間は、この分野では到底かなわない。せいぜい肝臓に再生能力が備わっている程度だ。

 それでも学習能力という点で、人間に勝る動物はいない。トカゲやヒトデなど、自然界の偉大な先達に学ぶ研究をいくつか紹介しよう。

◆メキシコサラマンダー

 メキシコサラマンダー(アホロートル)は、コピー機メーカーも舌を巻く優秀な複製マシーンだ。失った肢、尻尾、さらには脳や心臓、下あごの一部が再生可能で、研究対象としての人気も高い。

 アメリカ、マサチューセッツ州ボストンにあるノースイースタン大学の生物学者ジェームズ・モナハン(James Monaghan)氏は、大学院時代の研究プロジェクトでメキシコサラマンダーに触れて以来、その魅力にのめり込んでいる。

「背中が麻痺している場合でも、足の機能を回復させることができる。すべての神経細胞を新たに作り、互いに伝達させることが可能なため、足を再び使えるようになる。再生機能の素晴らしい一例だ」。

 モナハン氏の最新の研究では、遺伝子による再生能力の統制に焦点を置いており、特定の遺伝子がオンまたはオフの状態で何が起こるかをテストしている。「さまざまな再生能力を持ち合わせているので、申し分のない研究モデルだ」。

◆シカ

『おひとよしのオオシカ』という絵本を読んだ子どもは、大きな枝角が定期的に脱落し、再生しているシカにびっくりしたことだろう。

 シカの枝角は、「再生能力の最も極端な例の1つ」とモナハン氏は語る。わずか3カ月で約27キログラムも再成長する場合があるという。

◆ホヤ

 この小さな動物は、再生能力の理解を深める上で重要な役割を果たす可能性がある。 尾索動物の1種であるホヤの生殖方法は、そのタイプによって異なる。単体ホヤは有性生殖を行い、コロニーを作る群体ホヤは有性生殖と、出芽による無性生殖の両方を行う。

 カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の研究者オットー・グーデルホーファー(Otto Guedelhoefer)氏は、群体ホヤのうち無性生殖を行う種は循環器系を共有しており、体全体の再生が可能だと述べている。

 見た目からでは想像もつかないだろうが、ホヤは遺伝子的にヒトと驚くほど似ている。国際的な研究チームは最近、ホヤの1種であるキクイタボヤ(学名:Botryllus schlosseri)のゲノム配列を決定。ヒトの遺伝子と77%も重複しており、人類の再生医療に希望の光を灯している。

 グーデルホーファー氏によると、ホヤの再生能力が年齢とともに衰える原因を究明すれば、ヒトを含む動物の老化研究の基盤となる可能性があるという。

◆ヒトデ

 アニメのキャラクターからジュエリーのモチーフまでと、ヒトデは多くの人から愛されているが、自身の腕、ときには体全体を再生する能力を持っている。

 たとえ腕が1本しかない場合でも、リング状の中枢神経が傷ついていない限り、完全に新しいヒトデに成長する。

◆扁形動物

 1匹の虫を真っ二つに切断すると、2匹の虫になることは何世紀も前から既に判明している。生物学者のトーマス・ハント・モーガンは、1901年に出版した著書で扁形動物の1種であるプラナリアの高い再生能力を示した。

 今なおプラナリアは研究対象として広く用いられている。2011年には、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が、放射線を当てて瀕死のプラナリアに特殊細胞を移植したところ、完全な再生に成功した。2013年には、ドイツのマックス・プランク研究所の分子細胞生物学と遺伝学の研究者が、扁形動物において新しい頭を再生させる分子スイッチを発見。タフツ大学の科学者は、記憶を保持したまま頭部を再生することを発表している。

Photograph by Stephen Dalton, NHPA/Photoshot, National Geographic Stock

文=Liz Langley

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