ジュラ紀の古代魚、リードシクティス・プロブレマティカス(想像図)。史上最大の魚類と推定されている。

Photograph by Bob Nicholls, PaleoCreations
 史上最大の魚類として知られる古代魚、リードシクティス・プロブレマティカス(Leedsichthys problematicus)。体長は27メートル以上と推定されていたが、実際はその半分程度だったらしい。新たな研究結果が、イギリス、エディンバラで開催中の「第61回古脊椎動物学・比較形態学シンポジウム」で発表された。 リードシクティスは約1億6500万年前のジュラ紀に生息していた魚の一種で、プランクトンを主なエサにしていたと考えられている。発見された化石はいずれも断片的で、全身骨格はおろか体長を正確に知ることも非常に困難だった。

 今回、体長に関する新たな説を提唱したのは、イギリス、ブリストル大学の古生物学者ジェフ・リストン(Jeff Liston)氏。

 リードシクティスは1889年、イギリスの古生物学者アーサー・スミス・ウッドワード氏により初めて世に紹介された。以来、鰓耙(さいは)という器官の大きさを根拠に、巨大魚と分類されている。口に含んだ水と食物のプランクトンを分離するための濾過器官だが、リードシクティスの鰓耙の化石は約7.6センチ長もあった。カツオの鰓耙の約3倍に相当し、その大きさから翼竜(よくりゅう)のあごなど他の古生物の骨と勘違いされるケースも。

 1986年、古生物学者のデイビッド・マーティル(David Martill)氏は、他の部位の化石の大きさも引き合いに出して、この生物を“史上最大の魚類”と呼び、全長はシロナガスクジラに匹敵する27メートル超と推定した。

◆リストン氏らの推定結果

ブリストル大学のリストン氏らの研究グループは、体長をより正確に推定するため、巨大な尾びれ、エラを構成するさまざまな骨、胸びれなどの化石を幅広く調査。また、研究が不十分だった近縁種の骨格についても分析し、両者の比較対照を行った。より多種の骨を対象に加えたことが、今回の研究のポイントだとリストン氏は話す。特定部位の骨を単独で調査し、その結果に基づいて体長を推定すると、実際よりも大きな数値が算出される可能性があるからだという。

 同氏が対象とした化石の中には、2001~2003年に発掘された標本が含まれている。体の後ろ半分は失われているが、「間違いなく最も多くの部位が残されている」とリストン氏は語った。

 特に、胸びれと頭蓋骨が揃っている点は、他の標本には見られない大きな特長である。「ロゼッタストーンのような有力な手掛かりになった。断片的な骨の化石すべてを結び付ける要の存在で、それぞれの標本が指し示す事実を解読する際に非常に役立った」。

 リストン氏らの研究グループが手がけた標本は、全部で5つの個体に由来している。それぞれの個体は互いに体長が異なり、最小でおよそ7.9メートル、最大でも16.7メートル前後という結果になった。27メートルという以前の推定値に比べると、幾分控え目な数値である。

 もっとも新たなサイズが導き出されたとはいえ、リードシクティスが史上最大の魚類であることに変わりはない。 記録を更新する個体が発見される可能性も、今後大いに期待できる。

Photograph by Bob Nicholls, PaleoCreations

文=Brian Switek