米動物園の双子パンダ、1匹は死産

2013.08.27
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スミソニアン国立動物園で生まれた1匹目の赤ちゃんパンダ。生後すぐに飼育係の検査を受けている様子。

Photograph by Courtney Janney, Smithsonian National Zoo
 現地時間8月23日、スミソニアン国立動物園でジャイアントパンダの「メイシアン」(美香)が1匹の赤ちゃんを出産した。こちらの子は元気に産まれたが、その翌日、メイシアンが産んだ双子の2匹目の赤ちゃんは死産だったと同動物園が発表した。 24日の夜に生まれた2匹目の子パンダには「複数の発育異常」が認められ、出産時には既に死亡していたと、動物園では公式ウェブサイトで説明している。「Washington Post」紙では、ジャイアントパンダの死産は「非常にまれ」だと報じている。

 ワシントンD.C.にある動物園のウェブサイトでは、2匹目の出産の模様をこう記している。「パンダカムで様子を見守っていた飼育係は、メイシアンが17分間、赤ちゃんの身体をなめているのを確認した。なめるのをやめると、赤ちゃんはメイシアンの身体から落ち、床に転がった(中略)。赤ちゃんはそのまま動かず、鳴くことも全くなかった」。

 一方、頻繁に鳴き声をあげている1匹目の赤ちゃんパンダは、25日に出生後初の検査を受けた。動物園によれば、こちらの赤ちゃんは「元気で発育は良好、肌も健康的な明るいピンク色」とのことだ。

 こちらの赤ちゃんは体重137グラムで、心拍数も安定し、肺も正常に機能しているという。メイシアンの母乳で育てられている赤ちゃんは飲んだものをきちんと消化しており、「こうしたことすべてが、赤ちゃんが極めて健康であることの証だ」と、動物園では述べている。

 ジャイアントパンダに双子が生まれることはよくあるが、野生の環境ではどちらか1匹はいずれ死んでしまうと、マーク・ブロディ(Marc Brody)氏は指摘する。ブロディ氏は、飼育環境下でのパンダを繁殖している中国の臥龍(ウォロン)自然保護区で、自然保護と持続可能な開発に向けた取り組みの上級顧問を務めている。

「母パンダは2匹のうち丈夫な方を選んでそちらを育てることに集中し、もう1匹の育児を放棄する」と、ブロディ氏は説明している。

「母パンダは野生の世界の厳しさを悟り、適者生存の原理を適用するのだ」。

 だが、獣医医療の「目覚ましい進展と高度化」により、飼育環境下で生まれた双子では、2匹とも無事に育つケースが増えたと、ブロディ氏は指摘する。

 例えば、飼育されている場合、獣医師は2匹の赤ちゃんパンダを同時に母パンダのもとには置かず、1匹ずつ交代で母親に任せるとともに、もう1匹は必ず保育器で保護する措置をとる。

◆赤ちゃんパンダの生死を分ける生後数日

 さらに、すべての赤ちゃんパンダにとって、生後の数日間は重要な意味を持つとブロディ氏は強調した。

 例えば、「赤ちゃんパンダは、哺乳類の中でも一、二を争うほど、極めて未熟な状態で生まれてくる」ため、生後も身体が非常に弱いという。

 出生時の赤ちゃんパンダは体重85~140グラムほど、体毛もなく、目も見えない。これは母パンダの900分の1という小ささだ。これを人間に当てはめると、54キロの母親が55グラムほどの赤ちゃんを育てている状態だと、ブロディ氏は説明する。

 スミソニアン国立動物園によれば、これほど小さな身体で生まれてくるジャイアントパンダは、有袋類を除くと、母親との比較で最も新生児が小さい哺乳類の1つだという。

 生まれたばかりのパンダは自力では動けないため、生き延びるために母親の体温や母乳、保護に頼る必要がある。赤ちゃんがあまりに小さいため、母パンダが育児中に誤って子どもを押しつぶしてしまうことも起きがちだと、ブロディ氏は述べている。

 これらの課題を踏まえ、「最も大切なのは(人間による)監視だ。赤ちゃんから片時も目を離さず、見守らなくてならない」とブロディ氏は強調している。

 赤ちゃんパンダが誕生すると、動物園では24時間母子を映像で見守る監視チームを結成する。また、育児が行われる飼育施設にも高感度の録音用マイクを設置し、「何か問題が起きているような物音がしたら、すぐに母子に割って入れるようにする」という。

 動物園の獣医師も、赤ちゃんパンダがきちんと母乳を飲んでいるか、母乳の量が十分かを確認する役割を持つ。子パンダは8~9カ月の間、母乳を飲んで育つ。成育中の子パンダの成長が遅い場合には、獣医師が補助的に食物を与えることもある。

 すべてが順調に進めば、赤ちゃんパンダは生後1カ月ほどでかなり大きく、丈夫になり、差し迫った危機を脱するはずだ。そしてあの、愛くるしい姿を見せてくれるだろう。

Photograph by Courtney Janney, Smithsonian National Zoo

文=Christine Dell'Amore

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