新種の肉食哺乳類、オリンギート

2013.08.16
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西半球で35年ぶりに発見された新種の肉食哺乳類、オリンギート。

Photograph by Mark Gurney, Smithsonian Institution
 アンデス山地の雲霧林で、アライグマ科の新種、「オリンギート(olinguito)」が発見された。肉食哺乳類の新種発見は西半球で35年間ぶりというニュースに、研究者たちは沸き立っている。体はふわふわの短い毛で覆われ、テディベアそっくりの丸顔に大きい目が特徴だという。 体重は約900グラム、体毛は橙褐色。コロンビアとエクアドルの深い雲霧林で孤立した樹上生活を営んでいるため、今まで発見に至らなかった。スペイン語で「霧」を意味するネブリナ(Neblina)にちなみ、バサリシヨン・ネブリナ(Bassaricyon neblina)という学名が付けられている。

 アライグマ科の動物では最小で、果実を採るために夜間だけ活動する。ジャイアントパンダなど他の肉食動物と同様、ほぼ植物しか食べないが、ネコ目(食肉目)に分類されている。

 研究責任者で、スミソニアン国立自然史博物館の哺乳類担当の学芸員クリストファー・ヘルゲン(Kristofer Helgen)氏は、「20世紀は過ぎてしまったが、発見の世紀はまだまだ続く。この素晴らしいオリンギートは、今年の華々しい成果だ。新種は今後も数多く見つかることだろう」と話す。

 ネコ目は動物界で最もよく研究されているため、「まさか新種が隠れているとは思わなかった」とヘルゲン氏は語る。草食哺乳類ならまだしも、より数が少ない肉食動物の発見は、「信じられないほど珍しい」という。

 8月15日、ワシントンD.C.で開かれた記者会見でヘルゲン氏は、「この驚きを言葉では言い尽くせない。霧の中のオリンギートを、今初めてご紹介します」と語り、愛らしい顔写真を公開。会場からはどよめきが上がった。

◆オリンギートを探して

 ヘルゲン氏が新種の可能性に最初に気づいたのは2003年、樹上生活の近縁種「オリンゴ(olingo)」の博物館標本を研究していたときだった。南アメリカの肉食動物で、系統樹はまだ解明されていない。同氏は一部の標本がほかと異なることに気づく。全体的に小型で、歯が小さくて長く、毛が濃い。

「シカゴのフィールド自然史博物館で引き出しを開けると、見たことのない肉食動物の毛皮がいくつかあって、多量の赤い毛に覆われていた」とヘルゲン氏は回想する。同氏はナショナル ジオグラフィック協会のエマージング探検家でもある。

 標本に添えられた記述によると、標高1500~2700メートルのアンデス山脈北部で数十年前に収集されたという。オリンゴの生息地よりもかなり標高が高い。

 どうやら、未確認の種が存在するらしい。それ以来、10年に及ぶ新種調査が始まった。2006年、ヘルゲン氏とノースカロライナ自然科学博物館、生物多様性・地球観測研究室(Biodiversity and Earth Observation Lab)の責任者ローランド・ケイズ(Roland Kays)氏は、現地調査に出発。

 エクアドルの動物学者ミゲル・ピント(Miguel Pinto)氏の協力を得て、同国のオタンガ霧雲林保護区(Otanga Cloud Forest Preserve)西部に調査地を絞り込む。

 調査に入って最初の夜、湿気が多く、植物が生い茂り、カエルやコオロギが鳴く中を歩き回っていると、樹上で動物の動く音が聞こえた。皆を見つめていたのは、キンカジューにヤマアラシ。そして、「ヘッドライトで照らしてみると、オリンギートがいた」とヘルゲン氏は語る。

 チームは複数のオリンギートを調査行で発見、その後、アンデス山脈のほかの場所で実施した調査でも確認できた。遺伝子分析の結果によると、オリンギートはオリンゴとかなり異なるだけでなく、4つの亜種の存在も明らかになったという。

 今回の調査結果は、「ZooKeys」誌オンライン版に8月15日付けで発表された。

Photograph by Mark Gurney, Smithsonian Institution

文=Christine Dell'Amore

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