NASA/ESAのハッブル宇宙望遠鏡が撮影した画像から、2つの高密度天体の合体によって生み出される新しいタイプの星の爆発「キロノヴァ」の存在が明らかになった。

Image courtesy NASA, ESA, N. Tanvir (University of Leicester), A. Fruchter (STScI), and A. Levan (University of Warwick)
 NASA/ESAのハッブル宇宙望遠鏡が撮影した画像から、2つの高密度天体の合体によって生み出される新しいタイプの星の爆発「キロノヴァ」の存在が明らかになった。 ハッブルがこの爆発を見つけたのは、短時間ガンマ線バーストの残光を注視している間だった。短時間バーストは最大でも2~3秒で終わるが、そのあとには可視光および近赤外線のかすかな残光が数時間から数日続くことがあり、爆発の正確な場所を特定する手掛りとなる。

 2013年6月13日、ハッブルの広視野カメラとガンマ線監視衛星スウィフトが、右上の画像に示すガンマ線バーストの発生源で近赤外光の輝きを確認した。

 ハッブルが7月3日に同じ場所を観測すると、輝きの発生源は右下の画像のように色あせていた。この消え行く光は、新しいタイプの恒星爆発「キロノヴァ」の減衰していく火球だったという重要な証拠を示唆している。キロノヴァは、理論上その存在が予測されていた。

 今回の観測結果は、2つの高密度天体の合体にともなって短時間ガンマ線バーストが生じることの初の証拠と言える。

 白色矮星の爆発によって生じる新星(ノヴァ:nova)の約1000倍の明るさがあるためキロノヴァ(kilonova)と呼ばれるが、大質量星の自己爆発である超新星(スーパーノヴァ:supernova)の明るさと比べると10分の1から100分の1しかない。

 左側の画像の中心にあるのは、今回のガンマ線バースト「GRB 130603B」を生み出した銀河で、約40億光年遠方にあり、天体カタログには「SDS J112848.22+170418.5」と記載されている。

 ガンマ線バーストは、宇宙全体では1日に1回から数回程度の頻度で起きている。数秒から数分間持続する長時間バーストは、超大質量星のコア(中心核)が崩壊、爆発した際や、2つの巨大な恒星の衝突が原因で発生するとみられている。1秒も続かないごく短時間の場合もあるが発生機構は解明されていない。

 イギリスのレスター大学などのチームによる今回の研究結果は、「Nature」誌に8月3日付で掲載されている。

Image courtesy NASA, ESA, N. Tanvir (University of Leicester), A. Fruchter (STScI), and A. Levan (University of Warwick)