インドで彩雲の撮影に成功

2013.07.19
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ナショナル ジオグラフィックの読者投稿による、インド北部のウッタル・プラデーシュ州ノイダ地区の彩雲。

Photograph by Harish Venkatesh
 不気味な雨雲の上に色鮮やかな暈(かさ)がかかる。まるで天使の登場する絵画か地球外生命体の活動のようだが、合成写真でも超常現象でもない。大気で発生する「彩雲(さいうん)」という気象現象だ。 この写真は、インド北部のウッタル・プラデーシュ州ノイダ地区に住むアマチュア写真家の大学生、ハリシュ・ベンカテッシュ(Harish Venkatesh)氏が撮影し、ナショナル ジオグラフィックに投稿したもの。7月中旬、夏の暴風雨の直後という、彩雲にとっては理想的な条件に彼は恵まれた。

「狙いは嵐の後の景色だった。水滴にカメラを向けていると、友人が雲の上に色鮮やかな光を見つけたんだ」とベンカテッシュ氏は話す。

 英語で「炎の虹(fire rainbows)」、「虹の雲(rainbow clouds)」などという彩雲は、雲の水滴による太陽光の回折現象だ。この世のものと思えない鮮やかさだが、実際には単純な仕組みで起きるという。

 雲から地面にかかる普通の虹と同様、彩雲は激しい雷雨の後に発生する。大気現象の専門家レス・カウリー(Les Cowley)氏によると、気温と湿度が高い時期の夕方近くが観察のチャンスだという。というのも、ほとんどの彩雲は、子どもがよく絵に描くような、ふわふわした綿形の積雲の上に現れるためだ。

「熱い空気が上昇気流に乗って上へ上へと押し上げられ、広がってから冷えると積雲になる。水分が小さな水滴に凝縮し条件が揃うと、雲頂の上部に水平に薄く広がる“頭巾雲”が形成される」とカウリー氏は説明する。

「われわれがよくパイリアス(pileus)」と呼ぶこの“頭巾”が、彩雲の要因となる。頭巾雲の水滴で太陽光が散乱して、鮮やかな色合いが生まれる訳だ」。

 彩雲の原理は単純だが、見逃す場合が多く、このようなクリアな写真はさらに珍しいという。

「一瞬、宇宙人が地球に降り立つ入り口が開いたのかと思った」。ベンカテッシュ氏が彩雲を見るのは初めて。「あまりの美しさに、いつのまにかシャッターを切りまくっていた」。

「良い判断だったね。彩雲はありふれた現象ではないから」とカウリー氏は評価する。「頭巾雲はどこでも虹色になるわけではない。私はいつも、アメリカのフロリダ州、東南アジア、アフリカの赤道付近などで彩雲の写真を撮っている」。

「彩雲に巡り会えてラッキーだった。インドではとても珍しい。一緒にいた友人と今でも、宇宙人の侵略だとジョークの種にしているよ」とベンカテッシュ氏は語る。

Photograph by Harish Venkatesh

文=Lara Sorokanich

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