ゴンドウクジラは“深海のチーター”
2008.05.16
カナリア諸島沖のコビレゴンドウは、大西洋の深海で長い距離にわたりチーターのように獲物を追いかけていることが、新研究で明らかになった。 ほかのクジラと同様に、ゴンドウクジラは呼吸のために水面に上がる必要があるが、呼吸を長時間止めることもできる。コビレゴンドウは1000メートル以上潜水することで知られているが、深海での行動については詳しくわかっていなかった。
研究者たちはスペイン自治州のカナリア諸島で最大の島であるテネリフェ島で、23頭のコビレゴンドウに吸着カップでタグを取り付けて観測した。このタグは1日の動き、音、深さを記録した後に、クジラからはずれて、水面に浮き上がり収集された。研究著者でラ・ラグーナ大学のナターシャ・アギラール・ソト氏は、「クジラが深海でどのように行動しているのか調べたかった」と話す。
調査の結果、クジラは昼間の潜水中に平均で秒速6メートル、最も深く潜る直前には最高秒速9メートルまでスピードを上げていた。その後に、目の前のなにかを見つけようとして、生物ソナーから音を出していたことがわかった。アギラール氏のチームでは、今回の観測結果はクジラが獲物を追いかけていたことを示していると考えている。アザラシやイルカ、海に潜る鳥など、呼吸を止めるほかの動物の泳ぐスピードは、秒速約2メートルと測定されている。
今回のクジラのように高速で獲物を狙う行動は、海に潜るほかの動物では観測されたことがない。しかし、この行動はまったくユニークだというわけではない。地上では、チーターが1匹の獲物を追って全速力で走るとき、大きなエネルギーを投入している。コビレゴンドウも同様の行動を見せたのだろうと研究者たちは示唆しているが、これは驚くべき推論だ。というのも、いままでこの深海を支配する略奪者は、ジャガーがジャングルの草に隠れて急襲の瞬間を待つように、暗い海を利用して獲物を待ち伏せしていると考えられてきたからだ。
「ジャングルは獲物を待ち伏せするのにちょうどいいし、平原は獲物を捕らえるのにもってこいの場所だ」とアギラール氏は言う。「ソナーを使うクジラにとって、深海は平原のような格好の場所だが、追われる動物の方にしてみれば、暗い海はジャングルのような危険な場所になる。この推測が正しければ、深海という場所が両方の環境を兼ね備えていることになる。これはユニークな特徴だろう」。
Photograph courtesy NOAA
研究者たちはスペイン自治州のカナリア諸島で最大の島であるテネリフェ島で、23頭のコビレゴンドウに吸着カップでタグを取り付けて観測した。このタグは1日の動き、音、深さを記録した後に、クジラからはずれて、水面に浮き上がり収集された。研究著者でラ・ラグーナ大学のナターシャ・アギラール・ソト氏は、「クジラが深海でどのように行動しているのか調べたかった」と話す。
調査の結果、クジラは昼間の潜水中に平均で秒速6メートル、最も深く潜る直前には最高秒速9メートルまでスピードを上げていた。その後に、目の前のなにかを見つけようとして、生物ソナーから音を出していたことがわかった。アギラール氏のチームでは、今回の観測結果はクジラが獲物を追いかけていたことを示していると考えている。アザラシやイルカ、海に潜る鳥など、呼吸を止めるほかの動物の泳ぐスピードは、秒速約2メートルと測定されている。
今回のクジラのように高速で獲物を狙う行動は、海に潜るほかの動物では観測されたことがない。しかし、この行動はまったくユニークだというわけではない。地上では、チーターが1匹の獲物を追って全速力で走るとき、大きなエネルギーを投入している。コビレゴンドウも同様の行動を見せたのだろうと研究者たちは示唆しているが、これは驚くべき推論だ。というのも、いままでこの深海を支配する略奪者は、ジャガーがジャングルの草に隠れて急襲の瞬間を待つように、暗い海を利用して獲物を待ち伏せしていると考えられてきたからだ。
「ジャングルは獲物を待ち伏せするのにちょうどいいし、平原は獲物を捕らえるのにもってこいの場所だ」とアギラール氏は言う。「ソナーを使うクジラにとって、深海は平原のような格好の場所だが、追われる動物の方にしてみれば、暗い海はジャングルのような危険な場所になる。この推測が正しければ、深海という場所が両方の環境を兼ね備えていることになる。これはユニークな特徴だろう」。
Photograph courtesy NOAA