豪の猛暑、気候変動の前兆?

2013.05.27
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2011年、オーストラリア、パースで、山火事の消火作業にあたる消防士。住宅約70軒が焼失した。

Photograh courtesy Evan Collis
 2012年前半、100年に一度の洪水に見舞われたイギリスとアイルランドは、15億2000万ドル(約1500億円)のダメージを被った。記録的な高温だったロシアのシベリアでは6月に森林火災が発生し、約30万平方キロの針葉樹林が焼失。夏にはハリケーン「サンディ」が7カ国に上陸、死者数百人、推定被害額は750億ドル(約7.5兆円)に上った。そして先週、アメリカ、オクラホマ州の小さな町に最高規模の巨大竜巻が襲来、24人が犠牲となった。 このような自然災害は単発でも大変な被害となるが、日常化しているのがオーストラリアだ。「ラッキー・カントリー」と称されるほど、穏やかな気候や豊かな自然に恵まれたオーストラリアだが、ここ数年は異常気象が急増、今年も壊滅的な事象が続いている。

 オーストラリアは地球の気候変動の指標となるのだろうか? この問題に注目する専門家たちは、激しさを増す天候パターンを調査し、気候変動が引き起こす現象の前兆を見極めようと研究を進めている。

◆過去最高の猛暑

 オブザーバトリー・ヒルの上に立つ荒削りの砂岩の建物、シドニー天文台は1858年以来、シドニー港を見守っている。ガス灯第一号の設置から、新たなランドマーク、シドニー・オペラハウスやハーバーブリッジの建設まで、あらゆる出来事に立ち会ってきた。

 2013年1月18日午後2時55分、天文台の気象観測装置に新記録が刻まれた。最高気温45.8度、シドニー史上一番の暑さだ。

 国内ほぼ全域で猛暑が続き、「観測史上最も暑い夏」、「観測史上最も暑い連続7日間」など、暑さや洪水に関する記録が90日間で123件も更新された。

 例えば、南オーストラリア奥地の集落、ウードナダッタのガソリンスタンド兼休憩施設「ピンクロードハウス」では、気温が上昇しすぎて、給油前にガソリンが蒸発してしまったという。住民は意外と冷静だ。国内最高気温の記録を死守する町に長年暮らしていれば、今さらあわてても仕方がない。

 しかし、施設のオーナー、リニー・プレート(Lynnie Plate)氏は疲れ切った表情で、「地面も建物も、すべてがあまりにも熱く、外を歩くと自分が燃えてしまいそうだ」とレポーターに語った。

 国内最高気温50.7度を記録したのは1960年1月。今夏もかろうじて更新を免れたという。

 オーストラリア国民は夏の暑さが大好き。穏やかなビーチで一日過ごすだけで真っ赤に日焼けしてしまうイギリス人観光客は、定番のジョークネタだ。冬と夏の温度差がそれほど大きくないため、イギリス人のように不慣れな人間にはたまらない暑さでも、オーストラリア人は平然としている。

 しかし今年の国内平均最高気温は、39度超えが8日に及んだ。過去102年間で21日というから、さすがのオーストラリア人も辟易だったようだ

 今回の異常気象は突出している。オーストラリア気象局の気象観測マネージャー、デイビッド・ジョーンズ(David Jones)氏は、その際だつ様子を「信号対雑音比(SN比)」に例えてみせた。

「もともと気温変化が少ないオーストラリアは、世界で最も地球温暖化のシグナルを見分けやすい場所の1つだ。私たちが調べているのは、まさにこのシグナル。温暖化傾向はデータ上でも明白だ。天候パターンという“背景雑音”が低いので、すぐにピークを識別できる」。

Photograh courtesy Evan Collis

文=Matt Siegel

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