コーヒーは幻覚を引き起こす?

2009.01.14
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2009年1月に発表された研究によると、コーヒーや紅茶、栄養ドリンクなどカフェイン入りの飲料を多量に摂取する人は、幻覚や幻聴を体験する可能性が高く、死者が存在しているように感じることさえあるという。

Photography by Rebecca Hale/NGS
 コーヒー好きの人は注目してもらいたい。世界で最も普及している“向精神薬”とも言えるコーヒーは、一部の常用者に対して知覚に障害を起こすような作用を隠し持っている可能性がある。 最新の研究によると、コーヒーや紅茶、栄養ドリンクなどカフェイン入りの飲料を多量摂取する人は、幻覚や幻聴を体験する可能性が高く、死者が存在しているように感じることさえあるという。

 この研究は200人の被験者を対象としたもので、1日にコーヒー7杯分に相当するカフェインを摂取する人の場合、1杯以下の人と比較して幻覚を体験する傾向が3倍になることが判明した。研究チームのリーダーで、イギリスにあるダラム大学の博士課程で心理学を専攻しているサイモン・ジョーンズ氏は次のように話す。

「非常に興味深い相関関係が明らかになったが、因果関係の特定には注意が必要だ。今回の研究は必ずしも、“カフェインが幻覚を引き起こす”ことを示すものではない。データから考えればこのような推論は妥当だと考えているが、“幻覚症状を持つ人は不安や心配事が多いため、消費するカフェインの量が増える”という逆の因果関係の可能性もある」。

 カフェインは、意識の鋭敏化やエネルギーの増強、気分の向上といった効果があるため広く愛用されている。大衆に広く人気のあるこの“薬物”の影響については、これまで数多くの専門家が熱心に探求してきた。

 ある研究では、頭痛などの痛みを和らげ、ぜんそく症状を軽減するといった効果を示す可能性が明らかにされている。また、カフェイン摂取はガンや乳腺線維嚢胞症(にゅうせんせんいのうほうしょう)、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)と関連性を持つと指摘する研究もある。

 アメリカ食品医薬品局(FDA)では、カフェインを“一般に安全と認められる”食品添加物としてGRAS(Generally Recognized As Safe)リストに掲載している。大半の専門家も、1日最大300ミリグラムほど(380ミリリットルのコーヒーで1~2杯分、380ミリリットルのソーダ缶で6~8本分)の適度な消費量であれば危険はないという点で意見が一致している。

 ジョーンズ氏の率いる研究チームは、カフェインが、コルチゾールと呼ばれるストレス関連ホルモンの生産量を増加させるなど、ストレスの生理作用を増強して幻覚体験を引き起こす可能性があると論じている。

 今回の最新研究は、「Personality and Individual Differences」誌に掲載されている。

 ジョーンズ氏は、「幻覚症状を虐待や死別などの心的外傷体験(トラウマ)と関連付けている研究もある。こういった体験があると人はストレスに対して敏感になる可能性がある」と指摘した。

 アメリカにあるハーバード・メディカルスクールの行動薬理学者ジャック・バーグマン氏は、今回の研究を受けて次のように話す。

「カフェインを大量に摂取すると、神経過敏など有害な副作用が生まれることがあり、通常はあまり過剰に摂取しないように抑制メカニズムが働く。限度を超えたカフェインの過剰摂取は幻覚症状を引き起こすこともある。幻覚は一種の知覚障害で、カフェインの過剰摂取が引き金を引くとする調査研究はこれまでにも複数存在している。場合によっては、“星が見える”とか“雑音が聞こえる”といった単純なものではなく、もっと複雑な幻覚体験を引き起こすこともあるだろう」。

「また、カフェインの過剰摂取は人によっては妄想反応を生み出すことがあり、これにより知覚障害体験が強化される可能性がある。ただし、精神病性うつ病などの精神状態にある場合、カフェインを含め多くの薬物の効果がゆがめられることが良くある。このよう場合は、身体が過剰摂取に対してどのように反応するのかを予測するのが困難だ」。

 研究を行ったジョーンズ氏は、今後も研究を重ね、栄養素と知覚障害の関連性について実証していく予定だという。「深刻な幻覚に悩まされている人を対象に、食事に含まれるカフェインや糖類、脂肪の摂取量を変化させて幻覚症状が改善できるか調査してくつもりだ」とジョーンズ氏は今後について話した。

Photography by Rebecca Hale/NGS

文=Brian Handwerk

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