失われた大陸の痕跡を発見、ブラジル沖

2013.05.10
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ブラジル沖の海底で岩石サンプルを採取する有人潜水調査船「しんかい6500」。

Video still courtesy CPRM
 ブラジル、リオデジャネイロ沖の大西洋で“失われた大陸”の痕跡とみられる岩石が見つかったと、日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)が5月7日に発表した。 JAMSTECと共同研究を行っているブラジル地質調査所の地質学ディレクター、ロベルト・ベンチュラ・サントス(Roberto Ventura Santos)氏によると、同じリオグランデ海膨で2年前に見つかった花崗岩の塊は、はるか昔に消滅した大陸の一部である可能性が高いという。

 サントス氏は、「ブラジルの“アトランティス大陸”かもしれない」と語った。ただし、これは比喩的な意味で、海底に沈んだ伝説上の世界だと主張しているわけではないという。「もちろん、大西洋のど真ん中に“失われた都市”が見つかるとは思っていない」。

 花崗岩は、大陸の厚い地殻で見つかる比較的密度の低い岩石だ。サントス氏のチームは、約1億年前にアフリカと南アメリカが徐々に離れて大西洋が形成された頃、海に沈んだ大陸の一部だったと推測している。

 だが、アメリカ、ミズーリ州セントルイスにあるワシントン大学の地球惑星科学者マイケル・ワイセッション(Michael Wysession)氏によると、花崗岩は別の経緯で海底に現れる可能性もあるという。「約8億年前の海底で花崗岩の塊が見つかっている。スノーボールアース(全地球凍結)説の時期で、大きな岩石の塊が移動する氷河に埋まり、海洋部のいたるところに存在した」。同氏は今回の発見には関与していない。「氷河が溶けるにつれて海底に落下していった」。

 ワイセッション氏は、失われた巨大大陸の痕跡が見つかる可能性は低いと考えている。「衛星搭載のレーダーで海底地図が広範囲に作成されている。それほど大きなものが隠れているはずはない」。

 アトランティスのような失われた空想上の秘密の世界は、フィクションではおなじみだ。J・R・R・トールキンの「中つ国」、ジェームズ・ヒルトンの「シャングリラ」、ルイス・キャロルの「不思議の国」など、枚挙に暇がない。“失われた大陸”伝説の元祖「アトランティス」に最初に言及したのは紀元前360年、哲学者プラトンだ。アトランティスは大地に呑み込まれ、やがて海底に沈んだという。しかし、実際の大陸がこのように劇的に消滅することはめったにない。テキサス大学オースティン校の地質学者ステイシー・ローウィ(Staci Loewy)氏は、「低密度の岩石から成る大陸が、地下深くに沈み込むわけがない」と説明する。

 伝説はさておき、ブラジルの“アトランティス”のように、プレートテクトニクスによる海面上昇や地殻変動、侵食などが原因で、実際に姿を消した“失われた大陸”が存在する。「大陸の一部は侵食によって徐々に削られる。大きな大陸が分離するとき、断片が切り離されて微小大陸として孤立する可能性もある」とローウィ氏は話す。 ここからは、実際に発見された“失われた大陸”を紹介してみよう。

◆パンゲア

 パンゲアは、約3億年前に形成されたと考えられている超大陸だ。巨大な陸塊で、後に分裂して最終的に現在の大陸の配置になったという。

 ケノーランド、コロンビア、ロディニアなどいくつかの超大陸がパンゲアより前に存在したと考えられているが、その形状など詳細は解明されていない。例えばロディニアは、約10億年前に形成され、後に分裂してパンゲア大陸になったと考えられている。

「超大陸の各部分が現在の大陸の一部となっているが、10億年に及ぶプレートテクトニクスと侵食によって大きく変化したため、ロディニアのような超大陸の形を再現するのは非常に難しい」とローウィ氏は説明する。

 ふつうの感覚では静止しているように感じる地球の陸塊だが、実は地質学的な時間をかけて移動し続けている。巨大な貝殻のようなプレートがゆっくりとずれるように移動し、上に載った大陸を運んでいるという。

「地球表面は、リソスフェア(岩石圏)という14枚に分かれた固い層で覆われている」。リソスフェアはプレートとほぼ同義だ。

「地球表面を動き回るプレートが互いに衝突して、ヒマラヤやアンデスなどの山脈を形成する。分裂すれば、大西洋中央海嶺のような火山性の海嶺が海の真ん中に生じる。カリフォルニア州のサンアンドレアス断層は、2つのプレートがずれた跡だ」とローウィ氏は説明した。

Video still courtesy CPRM

文=Ker Than

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