出生日死亡率、先進国トップはアメリカ

2013.05.09
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お死産だった娘を忍んで、おくるみを抱くドハーティ(Doherty)夫妻。

Photograph by Layne Bailey, Charlotte Observer/MCT/Getty Images
 国際援助団体「セーブ・ザ・チルドレン」が発表した最新レポートで、出生日に死亡する新生児の割合は、先進国中アメリカが最も高いことが明らかになった。 世界全体で見ても、新生児の死亡リスクが最も高いのは出産直後である。生後24時間以内に死亡するケースは毎年100万例を超える。

 セーブ・ザ・チルドレンは毎年、「母の日レポート(State of the World's Mothers)」という報告書を発行している。世界176カ国を対象に、母子を取り巻くさまざまな環境の評価結果をランキング形式にまとめたものだ。2013年の報告書では、特に新生児の健康状態に重点が置かれ、国別の「出生日リスク指標(Birth Day Risk Index)」が今回初めて算出された。

 同報告書によるとアメリカは、出生初日に死亡する新生児が年間およそ1万1300人に上る。他の先進国全体に比べて50%ほど高く、欧州連合(EU)諸国の2倍に達している。

◆事態の背景

 セーブ・ザ・チルドレンのキャロライン・マイルズ(Carolyn Miles)事務局長は、決して意外ではないと話す。アメリカは人口が多いうえに、早産率も圧倒的に高いからだ。

 また、貧困やストレス、若年妊娠なども要因になっているとマイルズ氏は指摘する。経済的に貧しい母親から生まれる新生児の死亡率は、裕福な場合に比べて40%も高いという。

「アメリカの黒人女性を取り巻くリスクは非常に大きい。また、慢性的な健康障害や肥満、高齢出産、帝王切開などに伴うリスクも考えられる」。

 アメリカでは、貧窮者やマイノリティの女性がハイリスクケアを受けることは難しい。早産や未熟児出産の割合が高まる中で、彼女らが直面する身体的なリスクはますます大きくなるとマイルズ氏は話す。

 しかし、アメリカで新生児の出生日死亡率が高い理由については依然、疑問が残る。「他の先進国となぜこれほどの差があるのか、まだ十分には説明できていない。調査が必要だ」。マイルズ氏はそう語る。

◆新興国の現状と問題解決の鍵

 セーブ・ザ・チルドレンによれば、問題解決の大きな鍵を握るのは、教育と利用可能な医療サービスの充実だという。

「妊娠前や妊娠中のすべての女性が、公共医療サービスを利用できるような仕組みが肝要だ」とマイルズ氏は話す。セーブ・ザ・チルドレンは現在、アメリカや新興国の貧しい子どもたちが日々直面する問題に対処するための新たな委員会を設置するよう、議会に対して働きかけを行っている。

 報告書によるとアメリカや新興国では、出産時の合併症や感染症などで多くが出生直後に命を落としているという。経済的に豊かな国では、こうした例はほとんどない。先進国全体の割合は、全世界のわずか1%である。

 今回セーブ・ザ・チルドレンが母子にとってやさしい環境を総合的に評価した結果、アメリカは176カ国中30位、最下位はアフリカのコンゴ民主共和国だった。日本は新生児の健康状態を含む、保健・栄養、教育、経済面では高い評価を受けているが、指標の一つとなっている女性議員の比率が低いため、総合評価では31位となっている。

Photograph by Layne Bailey, Charlotte Observer/MCT/Getty Images

文=Alexis Manning

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