恐竜の胚、卵の中で“胎動”していた

2013.04.12
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新たな研究によると、恐竜の胚は卵の中で筋肉を動かして骨の成長を促していたという(想像図)。

Illustration courtesy D. Mazierski, Nature
 最古の恐竜胚の化石に関する新たな研究によると、恐竜は生まれる前に卵の中でピクピク動いて、筋肉や骨の発達を促進していたらしい。 最近、中国の雲南省禄豊(ろくほう)県で胚の骨の化石が数百個発見され、年代が1億9700万~1億9000万年前のジュラ紀前期と特定された。以前の記録である白亜紀(1億4500万~6500万年前)よりかなり古い。

 責任者でカナダ、トロント大学ミシサガ校の古脊椎動物学者ロバート・ライス(Robert Reisz)氏は、「恐竜の胚の化石としては最古級だ」と話す。「完全な卵は見つからなかった。ボーンベッド(骨層)、つまり骨の密集箇所で、卵の殻はすべて小さな破片に砕けていた」。

 非常に多孔質な化石は、発達中の胚と判明した。「急速に成長している胚の骨は、多数の小さなくぼみが特徴だ。周囲の組織と血管が広い範囲で骨に食い込んでいる」とライス氏は説明する。

 研究チームは、すべてルーフェンゴサウルス(Lufengosaurus)属の竜脚類の骨と断定した。首の長い草食恐竜で、全長9メートルに成長し、この地域に広く生息していた。

◆胚の中で収縮

 地層からは200個以上の骨が出土。少なくとも20頭の胚が存在したと調査チームは述べている。「20個の別々の大腿骨がその証拠だ」とライス氏は説明する。長さは12~24ミリで、さまざまな発達段階の胚があったとうかがえる。

 脚の筋肉がつながる「第四転子」という突起に注目したところ、現生動物の発達過程とよく似ていることがわかった。

 最も小さい大腿骨には第四転子の痕跡は見られない。少し大きい大腿骨には発生したばかりの転子があり、内部はほとんど軟骨が占めている。最大の大腿骨の転子は大きく、完全に硬化していたという。

 ネズミなど現生動物の研究で、転子など骨の突起の発達には、胚の生育中の早期に筋肉が収縮する必要があることがわかっている。

「鳥類や哺乳類など多くの動物は、卵や子宮の中で動いている。もちろん、胎動するヒトの胚も例外ではない」とライス氏は話す。「筋肉が収縮しないと突起は形成されない。現生動物との比較で、ルーフェンゴサウルスの胚の骨も同じ形成過程をたどったと考えられる」。

◆恐竜の急速な成長

「これだけ集中した胚の化石はめったにない」と評価するのは、カリフォルニア大学バークレー校の古生物学者ケビン・パディアン(Kevin Padian)氏。同氏は今回の研究には関与していないが、メールでコメントを寄せた。

「どの化石分類群でも、胚の骨はめずらしい。幼生恐竜の急速な成長を示す典型的な例だ。胚の段階での恐竜の成長速度は、鳥類や哺乳類に匹敵し、他の爬虫類よりもかなり速いスピードだった。その勢いは成体になるまで続いていた」。

 今回の研究結果は、「Nature」誌オンライン版に4月10日付けで発表された。

Illustration courtesy D. Mazierski, Nature

文=Ker Than

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