教師の手振りで数学の成績が上がる

2013.04.10
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手振りを交えて指導する教師。スーダン、ダルフールの難民キャンプで撮影。

Photograph by Raul Touzon, National Geographic
 簡単な手振りを加えるだけで、子どもの数学の成績が上がる。最新の研究によれば、指導者が手振りを加えて教えると生徒の成績が上がるという。アメリカの教師は他国に比べてあまり手振りを交えない。 研究チームを率いたのは2人の心理学者、ミシガン州立大学のキンバリー・フェン(Kimberly Fenn)氏とアイオワ大学のスーザン・ワグナー・クック(Susan Wagner Cook)氏。ミシガン州の小学2~4年生184人を対象に、4+5+7=[ ]+7のような等式の解答能力をテストした。クラスを半数に分け、それぞれ別の指導法のビデオを視聴した生徒の理解度を確認する方法だ。一方は等式の両側で手を振りながら、左右を同じ値にするよう説明。もう一方は、同じ情報が言葉だけで伝えられる。

 ビデオを見た直後にテストを実施したところ、手振りを交えた説明を受けたグループが良い成績を上げた。24時間後に実施した2度目のテストでも同じ結果が出た。

◆脳を刺激

 手振りが生徒の学習能力の向上につながることは過去の研究でも示されている。しかし、その理由はほとんどわかっていない。

 フェン氏とクック氏によれば、手振りは特に数学問題の構造理解を助けるという。等式の両側を両手で強調すると、生徒は数字に惑わされることなく、一番の目的は左右を同じ値にすることだと理解した。

「一方、指導者が言葉だけで解説すると、生徒は数字そのものに注目してしまう。しかし、問題が変われば数字も完全に変わってしまうので、生徒は混乱する」とフェン氏は話す。

 また、フェン氏によれば、手振りを見た生徒は問題の概念だけでなく、指導者の動きまで覚えている可能性があるという。「他人の行動を見ると、同じ動きを司る脳の領域が刺激されるからだ」。

◆アメリカの教育に足りないこと

 全米教育統計センター(National Center for Education Statistics)が2012年12月に発表した研究によれば、アメリカの子どもはアジアやヨーロッパ諸国に比べて数学や科学が苦手だという。

 2008年に発表された研究では、アメリカの教師は類似性を説明する際、香港や日本の教師より言葉に頼りがちという傾向があると、フェン氏は指摘する。「早期教育の現場では、もとよりアメリカの教師は数学の専門的な訓練を受けていない場合が多い」とクック氏は話す。「数学の知識に乏しく概念的な説明も不得意なら、手振りもたいして役に立たないだろう」。

 今回の研究結果は、「Child Development」誌オンライン版に3月28日付けで発表された。

Photograph by Raul Touzon, National Geographic

文=Linda Poon

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