ベルリンで不発弾、さらに大量に残存

2013.04.05
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1945年4月のベルリン市街戦の後に、破壊された議事堂ライヒスタークの屋根にテーブルクロス製の赤旗を掲げるソ連軍の兵士たち。これらの戦闘の際の不発弾は、今なおドイツ全土に眠っている。枠内は今回発見され、信管を取り外されたソ連軍の100キロ爆弾。

Photographs by Yevgeny Khaldei, Getty Images; (inset) Markus Schreiber, AP
 ベルリンで現地時間3日、中央駅近くの線路脇の地中から爆発物が発見され、交通網が一時封鎖される騒ぎとなった。周辺のホテルや住居、学校などから数百人が避難し、近くの空港でも航空機の発着を約30分にわたって見合わせる中、警察の爆発物担当者らが慎重に処理に当たった。 と言っても、これはテロ事件ではない。発見された爆発物は重さ約100キロ、長さ約1メートルのTNT爆弾で、約70年前の第2次大戦中に当時のソビエト連邦軍が投下したものと見られる。警察はこの不発弾の信管を慎重に外した後、車両に固定した状態で郊外の森まで運び出し、安全な方法で爆破処理を行った。

 ベルリン市民はこの出来事を厄介に思いはしても、それほど驚いてはいないようだった。第2次大戦の不発弾は時々、建築現場などで見つかっており、すでに生活の一部とも言える。毎年十数発の不発弾が発見され、処理されている。

 このようにニュースになるのは、特に大きな不発弾が見つかった場合だけだ。たとえば2011年11月には、ドイツ西部の街コブレンツで、ライン川から約1.8トンものイギリス軍の不発弾が見つかり、人口の約半数に当たる4万5000人を避難させる事態が起きている。

 2012年にはミュンヘンで不発弾の解体に失敗し、現場で爆破処理するという事態になった。近隣の建物が燃え、窓ガラスが割れて散乱するなどしたため、周辺地域は一時立ち入り禁止となった。

 ミュンヘンの事例は稀なケースであり、今回のベルリンでは「ごく一般的な爆破処理」が行われたと、現場を指揮した市当局のディートマー・ピュプケ(Dietmar Pupke)氏は報道陣に語った。

 専門家らは、今後も不発弾の発見が続くだろうと見ている。ベルリンでは戦後現在までに約2000発の不発弾が見つかっている。しかし専門家らの予想では、ベルリンの地中にはまだ2000~4000トンの爆発物が埋まっているという。その中には、大戦末期の熾烈な市街戦で使われた手榴弾の不発弾も多数含まれている。

「毎年10~15発の爆弾が発見され処理されている。このペースだと、この問題の解決までどれだけ長くかかるか想像できるだろう」と、かつてベルリン市警の法科学技術部門を率いたボルフガング・スピュラ(Wolfgang Spyra)氏は言う。

 未発見の不発弾の数は膨大だと考えられる。大戦中、ドイツの国土はイギリス、アメリカ、ソ連から爆撃を受けており、投下された爆発物は最大で270万トン、個々の爆発物は約45キロ~1.8トンにもなる。スピュラ氏の試算では、そのうち7~15%が不発弾と見られる。

 最悪の事態が起こる前にこれらの不発弾を発見し処理するため、ドイツでは数千人の人員が作業に当たっており、その費用は毎年数千万ドル規模になる。ドイツ全土で発見される第2次大戦の遺物は、不発弾や錆び付いたライフル銃から、トラックや戦車の残骸まで合わせると、毎年2万トンにのぼると試算されている。不発弾処理の際は高速道路や鉄道網を一時封鎖したり、企業を営業停止にしたりするので、経済的損失ははかりしれない。

 戦後何十年も、再開発事業の際に不発弾が見つかり、時には死傷者の出る事態も起こった。そのため現在でもドイツでは、建設工事の際に先立って、その地域に爆発物がないことの証明を求められる場合が多い。アメリカ軍やイギリス軍の航空写真のアーカイブを元に、不発弾の残っていそうな地域を調査している専門家もいる。それでも、ベルリンのように頻繁に空襲を受けた都市では、不発弾が絶対にないという保証を得られることはない。

 時の経過とともに、不発弾はますます危険性を増している。第2次大戦当時の爆弾には一般にTNT火薬が使用されている。その主成分であるトリニトロトルエンは化学的に安定しており、70年近く経過した今日でも爆発力を失っていない。その一方で、不発弾の信管は年を追うごとに壊れやすくなっている。

 連合軍の爆弾は時限信管を備え、投下の数時間から数日後に爆発するようになっているものが多かった。これは空爆の後処理に駆けつけた消防士や清掃作業員を死傷させ、作業の開始を遅らせる効果を狙ったものだ。時限装置はセルロイド製のものが多く、年とともに劣化する。セルロイドの劣化した信管は挙動を予測できないため、不発弾の安全な爆破処理が行えないことがある。

 それまで存在を確認できていなかった不発弾が突然爆発することもある。ベルリンの北にあるオラニエンブルクでは、1970年代から現在までに5発の不発弾が爆発事故を起こしている。ドイツ全土では、毎年1~2発の不発弾が突然爆発している。

 不発弾の信管が劣化して外せないために、発見のその場で爆破処理を余儀なくされるケースは、スピュラ氏の予測では、今後時間の経過とともに増えていくとのことだ。近隣一帯の建物には全半壊の危険が伴う。「今のところ、大部分は物的被害だけで済んでいる。しかし、やがては人的被害も覚悟しなければいけなくなると思う」とスピュラ氏は言う。

Photographs by Yevgeny Khaldei, Getty Images; (inset) Markus Schreiber, AP

文=Andrew Curry

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