エピオルニスの巨大な卵を探して

2013.04.02
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希少なエピオルニスの卵。3月27日、イギリス、ロンドンのクリスティーズ(Christie's)で撮影。

Photograph by Andy Rain, European Pressphoto Agency
 イースター・エッグ探しは先月末でお開きだが、史上最大級の卵の行方を世界中が見守っている。4月24日、イギリスの競売会社のクリスティーズが、化石化したエピオルニスの卵を競売にかける。高さ30.5センチ、直径22.9センチの巨大なサイズだ。 イギリス、ロンドンで開催されるオークション、「旅行・科学・自然史(Travel, Science and Natural History)」がその舞台。クリスティーズは4万5000ドル(約420万円)以上の値が付くと予想している。

 17世紀に絶滅したエピオルニスは、マダガスカル島の固有種だ。開発による生息地の消失や狩猟が原因で絶滅したと考えられている。

 ダチョウに似た飛べない鳥で、背の高さは最大3.35メートル。その巨大な卵は、平均的な鶏卵の100倍に達するという。大抵は保存状態が悪く、今回のように無傷で残っている場合は法外な高値が予想される。

 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン考古学研究所の考古学者、マイク・パーカー・ピアソン(Mike Parker Pearson)教授は、「現在、マダガスカルで見つかった無傷の卵はすべて、法的にマダガスカル政府の所有物だ」と説明する。「完全な形で一般市場に出回るケースはこれが最後かも知れない。まれに博物館や個人が所有しているが、その価値も跳ね上がるだろう」。

 その希少な卵を、実はナショナル ジオグラフィックが1つ所有しているという。その由来を尋ねてみると、興味深い事実が浮かび上がった。

 卵は1967年、ナショナル ジオグラフィック誌の伝説的な写真家ルイス・マーデンに贈られている。同誌で60年以上も仕事をしたマーデンは当時、世界を股にかける数々の任務の1つとしてマダガスカルを訪れていた。

 ちなみにマーデンは19歳という若さで、35ミリカメラによるカラー写真のガイド『Color Photography with the Miniature Camera』(小型カメラによるカラー写真の撮り方)を早くも著している。嵩じて水中カラー写真の先駆者となり、彼が考え出した水中撮影の手法の多くは、現在も用いられている。

 そのマーデンと卵の経緯を求めて、電子メールや電話で各方面に問い合わせ、ワシントンD.C.の本社ビルの部屋を探し回った結果、在りかに関する情報にたどり着いた。ナショナル ジオグラフィック協会博物館(National Geographic Museum)のある職員が知っていたのだ。

「1967年にルイス・マーデンに贈られたエピオルニスの卵を探している」との問い合わせに匿名希望の職員は、「マダガスカルでの任務中に手に入れたエピオルニスの卵の化石ですね」と答えた。

 職員によれば、協会の本社に展示されていたが現在は、温度、湿度が調節された地下のある部屋で鍵を掛けて保管されているという。

 再び展示される予定はないとのこと。筆者の卵探しはここで幕となったわけだが、1度火が付いた好奇心はそうそう抑えられないものだ。お菓子が詰まったプラスチック製のイースター・エッグは子どもに任せておけばいい。

Photograph by Andy Rain, European Pressphoto Agency

文=Brett Line

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