中世の本にネコの足跡、ネットで話題に

2013.03.28
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インクを踏んだネコが横切った跡がある15世紀の文書。

Photograph courtesy Emir O. Filipovic
 古代エジプトの宗教を皮切りにエドガー・アラン・ポーの「黒猫」、新しいところでは人気ネコ画像サイト「I Can Has Cheeseburger」まで。ネコと文学、文化は昔から蜜月の関係にある。しかし、15世紀の文書を横切る足跡を残し、その存在を歴史に残したのはクロアチアの古都、ドゥブロヴニクのネコくらいだろう。 ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボ大学で授業、研究の助手として働くエミール・O・フィリポビッチ(Emir O. Filipovic)氏は2011年7月、中世に記された手書きの文書に目を通しているとき、インクを踏んだと思われるネコの足跡が横切るページを見つけた。早速、フィリポビッチ氏はカメラを向けてパチリ。同僚や生徒に見せ、笑いの種にするためだ。

「これほど注目を集めるとは思わなかった」とメールでその経緯を述べている。

 2012年9月、まず同僚の歴史学者エリク・クワッケル(Erik Kwakkel)氏に、ツイッターで写真を送った。だが、あちこちのブログで取り上げられ、リツイートされ、共有されるようになったのは2013年に入ってからだ。

「単調で退屈な古文書の山を相手にする研究者が、好奇心をそそる何かに出くわすことはあまり多くない」とフィリポビッチ氏は言う。しかし、文章に目を通す時間が長ければ長いほど、眠気が吹き飛ぶチャンスも増える。

 フィリポビッチ氏は2008年に研究を開始してから、小さないたずら書きや謎の菌類、凝った装飾のイニシャル、害虫が開けたと思われる穴、さらには精密な透かし模様などを見つけている。

 ネコの足跡は面白い画像として話題をさらっている。しかし、みんなが「ヘェー」で終わってしまってはもったいない。そこから中世の地中海沿岸地域に関心を広げてほしいと、フィリポビッチ氏は願っている。

「これをきっかけに少なくとも1人ぐらいは、ドゥブロヴニクやその内陸(クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア)や、もっと広範な地中海沿岸地域の歴史にもっと時間を割いてくれると良いんだが」。

 足跡の写真は、写本の課題を集めたWebサイト「Interactive Album of Medieval Paleography」に掲載される予定だ。学生やアマチュアが手書きの文章を読むための実践訓練、特に中世の文章を判読する練習ができるようになっている。

 欧州デジタル人文科学会(European Association for Digital Humanities)の歴史学者、マージョリー・バーガート(Marjorie Burghart)氏が管理するこのアルバムには、9~15世紀の手書きの文章が集められている。

Photograph courtesy Emir O. Filipovic

文=Kate Andries

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