小型翼竜の新種、5歳の少女が発見

2013.03.22
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翼竜の新種、学名「ベクティドラコ・デイジーモリサエ」(Vectidraco daisymorrisae)の想像図と、発見者のデイジー・モリスちゃん。

Illustration and photograph courtesy University of Southampton
 2008年に発見されたカラスほどのサイズの翼竜が新種だったことが判明し、この翼竜の化石を発見した現在9歳の少女にちなんだ学名がつけられた。 翼竜は、恐竜と同じ時期に生息していた空を飛ぶ爬虫類の一種だ。このほど新種と判明した翼竜は、発見当時5歳だったイギリス在住の少女、デイジー・モリス(Daisy Morris)ちゃんへの敬意を込め、「ベクティドラコ・デイジーモリサエ」(Vectidraco daisymorrisae)と名付けられた。

 BBCの報道によれば、2008年、当時5歳のモリスちゃんはイギリスのワイト島で散歩の途中に、黒くなった「骨が砂から突き出ている」のを見つけたという(「ベクティドラコ」はラテン語で「ワイト島の竜」を意味する)。ワイト島は白亜紀の堆積層が多く露出し、欧州でも恐竜の化石が豊富な地として知られる。

 モリスちゃんの家族は、この化石をサウサンプトン大学の古生物学者、マーティン・シンプソン(Martin Simpson)氏のところに持って行った。シンプソン氏は同僚の力を借り、これが新種であることを突き止めた。

 カリフォルニア州クレアモントにあるレイモンド・M・アルフ古生物学博物館のアンドリュー・ファルケ(Andrew Farke)氏の解説によると、「翼竜の場合、異なる(種)では、骨格の特定の部位、特に頭蓋骨と骨盤に大きな違いがある」という。ファルケ氏はオンライン科学誌「PLOS ONE」に掲載されたこの新種の翼竜に関する研究論文の編集者を務めている。

 新たに見つかった翼竜は、アズダルゴ上科と呼ばれるグループに属している。この仲間について、シンプソン氏と同じくサウサンプトン大学に所属し今回の論文の共著者でもあるダレン・ナイシュ(Darren Naish)氏は、「個人的な意見だが、翼竜の中でも最も興味深いものの1つだ」と、声明の中で述べている。

「このグループに属する翼竜は白亜紀のみに生息し、すべて歯を持たない。また、その多く(おそらくすべて)は、森林地帯や熱帯雨林、氾濫原といった陸上環境での生活に特に適応していた」。

◆飛行に長けた新種の翼竜

 シンプソン氏をはじめとする研究チームは、骨盤の大きさから、新種の翼竜の大きさは翼開長で75センチほど、くちばしから尻尾の先までの長さはわずか35センチほどだったと推測している。これは現生の鳥類で言うとカモメか大型のカラスほどの大きさだ。

 ベクティドラコ・デイジーモリサエは、小型ながらケツァルコアトルスと近縁関係にあると考えられる。ケツァルコアトルスは翼開長が10メートル以上に達する、地球の歴史でも最大級の飛翔動物だ。

 また、ベクティドラコ・デイジーモリサエが生息していた6500万~1億4500万年前のイギリスは、今とはまったく異なる環境だったとみられる。ファルケ氏によれば、「おそらく当時は今よりもかなり暖かく、植物が生い茂っていたはずだ」という。

 近縁の種から類推すると、新種の翼竜はとさかを持ち、陸上では歩行や走行も可能だったが、飛行に最も長けており、密林の中を飛び回っていたと考えられる。

◆物語になったモリスちゃん

 化石を発見したモリスちゃんの冒険は、新種の発見だけでは終わらなかった。今回の研究の共著者シンプソン氏が、モリスちゃんに触発され、「Daisy and the Isle of Wight Dragon(デイジーとワイト島のドラゴン)」というタイトルの子ども向けの本を著したのだ。

 シンプソン氏は声明の中で、「この物語は、このような重要な発見が科学の世界で認められることに寄与した、一般人、研究者、学芸員の間の特別な関係にスポットライトを当てている」と語っている。

「また、この物語は、古生物学の世界で古くから続く伝統を示すものでもある。この世界では、一般の人が大発見をすることがある。多くのケースで、適切な場所に適切なタイミングで居合わせたことが、大発見につながっている」。

Illustration and photograph courtesy University of Southampton

文=Ker Than

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