雄鶏はどうやって朝を知るか?

2013.03.21
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伐採の進んだアマゾンの熱帯雨林で、朝を告げて鳴く雄鶏(資料写真)。

Photograph by Gordon Wiltsie, National Geographic
 目覚まし時計が登場するまで、私たちを毎朝叩き起こすのは雄鶏たちの仕事だった。最新の研究によって、雄鶏は朝日の光を浴びなくても、体内時計の働きで朝が来たのが分かるのだと確認された。 名古屋大学の研究チームは、ニワトリの生得的発声、つまり誰に教わったわけでもないのに朝コケコッコーと鳴くことなどへの遺伝子の関与を研究している。その中で、雄鶏は外部から光の刺激を受けなくても、朝を予知して鳴き始めることが明らかになった。

「このよく知られた現象への体内時計の関与を実証的に明らかにした研究は、驚いたことにこれまで行われていなかった」と、研究の共著者の1人である名古屋大学の吉村崇教授はメールで述べている。吉村氏は“体内時計”を専門としている。

◆雄鶏の行動に“光を当てる”

 吉村氏と、やはり名古屋大学の新村毅博士による今回の研究では、「PNP系」と呼ばれるニワトリの雄を、2種類の光の点灯パターンのもとで飼育した。PNP系は遺伝的に均一な高度近交系ニワトリとして、さまざまな実験に利用されている。

 実験の第1段階では、1日のうち12時間は明るく、12時間は薄暗い環境で雄鶏を14日間飼育した。この条件下では、雄鶏は点灯の2時間前から予知的に鳴き始めていた。これは、ニワトリの原種である野生のセキショクヤケイで観察された行動パターンとも一致した。

 実験の第2段階では、雄鶏を24時間薄暗い環境で14日間飼育した。この場合、雄鶏は1日を約23.7時間とする周期で行動するようになり、その生活リズムにおいて夜明けと考えられる時間に鳴くことが確認された。

 雄鶏が鳴くのには外部からの刺激も関係しているかどうかを確認するため、研究チームでは雄鶏に対して、さまざまな時刻に音や光の刺激を与える実験も行った。すると、光や音の刺激が朝に与えられた場合は、ほかの時間帯に比べて、鳴き声による反応が多かったと確認された。このことから、外部からの刺激よりも体内時計のほうが、雄鶏の行動を強く制御していると言える。

 この研究チームは、群れの中での地位が、雄鶏の鳴き始めるタイミングに影響していることも発見している。「雄鶏が鳴くのは、縄張りを主張し、(侵入者に)警告を発するためだ。予備段階のデータだが、最も地位の高い雄鶏には夜明けを告げる優先権があり、(地位の)低い雄鶏は毎朝、最高位の雄鶏(が鳴くの)を待ってから、あとに続いている」と吉村氏は言う。

◆鳴き声の研究はまだこれから

 アメリカ、ジョージア大学で鳥類の内分泌系を専門に研究しているクリステン・ネバラ(Kristen Navara)氏に話を聞いたが、これまで雄鶏が朝に鳴く現象に着目した研究がなかった理由はよく分からないとのことだ。「多くの場合、目の前にある確からしい物事は、研究対象とはみなされてないように思う」とネバラ氏はメールで述べている。ネバラ氏は今回の研究には参加していない。

 たとえば、「私たちも研究室の雄鶏を見て、夜明けの前に鳴き始めることには気づいていたし、どうしてかと思ったこともある。でも、それが体内時計に制御された概日リズムによるものなのか、外部からの刺激によるものではないのかを検証しようとは、まったく思いつかなかった」。

 ネバラ氏は「この研究は非常に興味深い。もっと以前に行われているべきものだったと思う」とも書き添えている。

 ニワトリの体内時計に関する今回の研究は、「Current Biology」誌の3月18日号に掲載された。

Photograph by Gordon Wiltsie, National Geographic

文=Jane J. Lee

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