新ローマ教皇、初の中南米出身者

2013.03.15
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3月13日、新ローマ教皇に選出された、アルゼンチン出身のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿。

Photograph by Natacha Pisarenko, AP
 3月13日(日本時間14日)、キリスト教カトリック教会の新教皇に初の中南米出身者が選出された。カトリック教会の未来は欧州以外の地域にあり、アメリカ大陸との絆も修復したい・・・。教会の勢力図をめぐる枢機卿たちの強いメッセージが込められている。 76歳のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ(Jorge Mario Bergoglio)枢機卿はアルゼンチン出身。教皇名はフランシスコ1世に決まった。

 アメリカ、ベイラー大学で世界の宗教を研究するフィリップ・ジェンキンス(Philip Jenkins)氏は、「教皇の職位がイタリア人の手から離れる象徴的な動きと感じた」と話す。先月退位したベネディクト16世の後継として、候補に上った枢機卿の多くはイタリア人だった。

 歴史的であると同時に、教会指導者としては、アメリカやアフリカ出身者よりも安全で伝統的な選択となった。ベルゴリオ氏はイタリア系移民の子孫で、最もイタリアに近いとされる国の出身者だ。

「彼は中間的な人物だ。イタリア人の立場からすると、外国で成功したイタリア系一家の出身者と見なせる。しかし、ナイジェリア人やスリランカ人は、教会の権威が欧州以外の地域に移った前代未聞の出来事と受け止めるだろう」とジェンキンス氏は言う。「ベルゴリオ氏が適任者かどうかは別として、教会改革への一歩になることは間違いないだろう」。

 一方、カトリック教会が急速に普及しているアジアやアフリカで新教皇が受け入れられるか懐疑的なのは、カリフォルニア大学リバーサイド校の歴史学者ジェニファー・ヒューズ(Jennifer Hughes)准教授だ。「欧州以外の出身だが、欧州の遺産を受け継ぐ人物なので、世界中で大歓迎とはいかないだろう。彼はイタリア語の名前を持つ白人にすぎない」。

「南米では歓迎されると思うが、アルゼンチンは多くの点で欧州に近い。基本的には、“南極に近いヨーロッパ”の国だ」とジェンキンス氏は語る。

 実際のところ、南アメリカではカトリックよりペンテコステ派や福音主義などのプロテスタントが優勢だが、アルゼンチンは他の国とは異なり、ローマカトリック教会が世俗主義と闘っており、欧州と状況が似ている。

 なおベルゴリオ氏は、アルゼンチンで2010年に合法化された同性婚には反対の立場を取っている。

 それでもベルゴリオ氏の選出は、南北アメリカのカトリック信者に対するメッセージとなる。信者の多くは、聖職者による性的虐待問題や同性愛のような議論を呼ぶ問題に対する、バチカンの保守的な姿勢に幻滅しているからだ。

「教会は危機的状況にあり、米国カトリック教会とバチカンの亀裂は大きくなっている。ベネディクト16世は原理主義的で、アメリカでは評判がよくなかった」とヒューズ氏は話す。フランシスコ1世は欧州に背景を持つが、アメリカでも受け入れられるだろう。

Photograph by Natacha Pisarenko, AP

文=Dan Gilgoff

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