“渡り”を行うガラパゴスゾウガメ

2013.03.13
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小道を通って高地に移動するガラパゴス諸島のゾウガメ。

Photograph by Christian Ziegler
 ガラパゴス諸島の火山島では、ガラパゴスゾウガメ(学名:Chelonoidis nigra)が渡り(季節ごとの生息地の移動)を行うという。ドイツ、マックス・プランク研究所の研究者スティーブン・ブレーク(Stephen Blake)氏が追跡調査を実施し、この驚くべき発見につながった。 ナショナル ジオグラフィックの探検家でもあるブレーク氏は、「あらゆる点で典型的な渡りだ。ただし規模は小さい」と話す。同氏は、ガラパゴス諸島のサンタ・クルス島で研究を進めている。

 ブレーク氏らは18匹のゾウガメにGPSタグを装着し、月ごとに個体数の調査を実施。その結果、20歳以上のオスと一部の大人のメスが2~3週間かけて平均約6キロの生息地移動を行っていることがわかった。1日あたりの移動距離は200~300メートルだ。

 はるかに長い渡りを行う陸生動物もいる。陸上では、カリブーが1100キロの最長記録を持つ。しかし、一般には1日に40~50メートルほどしか移動しない陸生のカメで記録されたのはこれが初めてだ。

 ゾウガメの旅は、サンタ・クルス島の湿潤な高地から始まる。ここで草や多年生植物を大量に胃に詰め込み、12月、雨期が始まると低地に移動する。こちらではハーブや低木が繁栄している。

 そして6、7月になると、雨がやみ、草木も消え、高地に戻るときが来る。ただし、大人のオスと一部のメスは旅立つが、「残りはじっと待つことを選ぶ」とブレーク氏は説明する。

「次第に理由がわかってきた」とブレーク氏は話す。体が小さいメスと子どもは高地の寒さに耐えられない、というのが氏の考えだ。また、成長期の若い個体は、栄養価の高い低地の広葉樹を食べて過ごすのかもしれない。

 カメの渡りを科学的に実証した初の研究となったわけだが、地元の人々にとってはお馴染みで、チャールズ・ダーウィンも伝え聞いていたらしい。

 現在、ガラパゴス諸島に生息するほかのカメについても研究が進められている。島ごとに環境が異なるため、渡りのパターンも異なる可能性が高い。

 ゾウガメの生息環境の要件や渡りのパターンがわかれば、いずれ絶滅の危機を回避する方策につながるかもしれない。外来植物の繁栄、道路建設、観光客の急増といった脅威には、すぐにでも取りかかれるはずだ。 今回の研究結果は、「Journal of Animal Ecology」誌オンライン版に2012年11月21日付けで発表された。

Photograph by Christian Ziegler

文=Sasha Ingber

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