スマトラ島、オランウータンの窮状

2013.03.06
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インドネシアのスマトラ島では、スマトラオランウータンを保護するプログラムが進んでいる。2012年4月、同プログラム(Sumatran Orangutan Conservation Programme、SOCP)の獣医師らが、オスの「アバター(Avatar)」を保護区へ移送する準備に取りかかった。アバターには鎮静剤が投与され、おとなしく草むらから引き上げられた。

Photograph by Paul Hilton
 インドネシアのスマトラ島では、スマトラオランウータンを保護するプログラムが進んでいる。2012年4月、同プログラム(Sumatran Orangutan Conservation Programme、SOCP)の獣医師らが、オスの「アバター(Avatar)」を保護区へ移送する準備に取りかかった。アバターには鎮静剤が投与され、おとなしく草むらから引き上げられた。 自然保護団体によると、絶滅危惧種のスマトラオランウータンはインドネシアに6600頭ほど生息している。スマトラ島北西部アチェ州の森林・泥炭地「ラワ・トリパ」には、アバターをはじめ200頭以上が暮らす。しかしこの一帯は、パーム油プランテーション開発による違法な火入れ、排水、伐採が行われている。

 トリパは世界でも有数のオランウータンの生息地で、同国政府が豊かな生物多様性を維持する目的で自然保全地域として指定した「ルスル自然地域(Leuser Ecosystem)」内にある。

 しかし、原生林や泥炭地の新規プランテーションへの転換は一時的に禁止されているにも関わらず、企業の保全地域の開発認可は取り消されていない。こうした企業は現在提訴されているが、判決までに時間がかかるため、今なお森林の排水や火入れが進んでいる。

 一方、SOCPのコンサベーション・ディレクター、イアン・シングルトン(Ian Singleton)氏は、政府の真剣な取り組みを認めたうえで、「問題はインドネシアの腐敗した、遅々として進まない司法制度にある。複雑な手続きが改善されていない」と指摘する。

 インドネシアの森林省と環境省にメールでのコメントを求めたが、返信はまだない。

Photograph by Paul Hilton

文=Linda Poon

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