驚くべき動物の帰巣本能

2013.01.25
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アメリカ、フロリダ州ウェストパームビーチの自宅でくつろぐ4歳の三毛猫ホリー(1月15日撮影)。ホリーは家族旅行の際に行方不明になったが、約320キロの一人旅で無事地元まで戻ってきた。この偉業に専門家たちは驚きの声を上げている。

Photograph by Barbara P. Fernandez, New York Times/Redux Pictures
 アメリカでは、旅先で行方不明になり、約320キロの道のりを自力で旅して地元に帰った飼い猫「ホリー」が大きなニュースとなった。 ドイツ、マックス・プランク研究所の動物学者で、帰巣性を専門とするマーティン・ウィケルスキー(Martin Wikelski)氏は、「動物の帰巣性には驚くばかりだ。遠くから元の場所に戻ってくるし、季節ごとの大移動で同じ場所をいつも行き来できるのだから」と語る。

 同氏によると、多くの動物には、コンパスのような磁気方位システムが内蔵されているという。ただし、動物の帰巣性については不明な点が多く、ホリーの驚異の旅についても科学的な説明は難しい。

 だが、「最近の研究により、臭覚が受け持つ重要な役割がわかってきた」とウィケルスキー氏は話す。「自分がどこにいるのか、家はどの方向にあるのか、動物たちは鼻を利かせるようだ」。

 今回は、ウィケルスキー氏が選んだ「困難な移動ミッションを成し遂げる動物ベスト5」を紹介しよう。

【 1. ウナギ 】
 長細い体ながら、謎に満ちた壮大な旅を行い、大海を横断する。例えば、ヨーロッパウナギの成魚は、ヨーロッパの川からはるか遠くの北大西洋サルガッソ海まで大移動して産卵する。その後、幼魚のシラスウナギはヨーロッパの川に戻り、やがて産卵時期になると、親が移動した経路をたどってサルガッソ海のまったく同じ場所にやって来る。嗅覚が非常に優れているが、「どのように大移動を成し遂げるのか、一切わかっていない」。

【 2. オオソリハシシギ 】
 海辺に生息する渡り鳥で、アラスカの繁殖地からニュージーランドまで一気に地球を半周する。2007年には、メスが休息なしにアラスカからニュージーランドまで1万1500キロを飛び、無着陸飛行の最長記録を打ち立てている。わずか9日の移動期間中に、衛星タグを通じて追跡された。

【 3. ズグロアメリカムシクイ 】
 スズメの仲間で北アメリカの森に生息するが、冬は超特急でベネズエラに避難する。まず森で十分に栄養を蓄えた後、貿易風をつかまえ、アメリカ北東部から南アメリカへわずか100時間で移動する。行程はすべて外洋上だ。「クレイジーとしか言いようがない」。帰りはもっとゆっくり景色を楽しむようで、陸地で休憩をとりながら栄養を補給して進んでいく。

【 4. メキシコオヒキコウモリ 】
 テキサス州でよくみられるコウモリで、数百万匹単位で群れを作る。移動を追跡した研究によると、巣の洞窟から最大70キロ先まで飛び、エサとなるガやカを探すという。「いくら遠くでも、帰り道で迷子になることはない」。陸上の目印と仲間のにおいを利用して、巣の位置を見つけると考えられている。

【 5. サハラサバクアリ 】
 エサを求めて、巣を中心に半径最大500メートルを移動する。アリの体にしては、かなりの大冒険だ。さまざまな方向に無秩序に移動するが、距離を歩数で把握し、太陽の偏光パターンを元に方向を認識できるので、最短距離で巣に帰る。「砂漠の生物にとって、帰り道を見つけられるかどうかは命にかかわる。あまり長く外にいると、太陽に焼かれて一巻の終わりだ」。

Photograph by Barbara P. Fernandez, New York Times/Redux Pictures

文=Christine Dell'Amore

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