人の消化管に棲む微生物を大規模調査

2013.01.07
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
クロストリジウム属細菌は、ヒトの消化管に生息する多くの細菌型の1つで、消化器疾患を引き起こすと考えられている。

Image by David Phillips, Visuals Unlimited/Corbis
 新年を迎え、食生活やライフスタイルの改善を(一時的にせよ)決意する人も多いだろう。もっと水を飲もう、脂肪分を控えよう、もっと運動しよう、というふうに。しかし実際のところ、われわれの消化管(胃腸)は何を求めているのだろうか? それを明らかにしようという市民参加の科学プロジェクトが進行している。「消化管のマイクロバイオーム(微生物叢: ある環境中に共生する微生物のまとまり)を最適かつ健康的な状態にするためには、どのような食生活を送ればよいのか? 答えはまだ得られていないが、それを明らかにすることは、人類が多くの慢性疾患を克服するカギになるかもしれない」と、「アメリカン・ガット(アメリカ人の消化管)」プロジェクトの共同創設者ジェフ・リーチ(Jeff Leach)氏は述べる。

 一般市民から資金を調達する同プロジェクトのコンセプトはいたってシンプルだ。99ドル払うとサンプル採取キットが送られてくるので、使用済みのトイレットペーパーから綿棒で採取した「少量の便」を試験管に入れて送り返す。参加者はそのほか、3日分の食物摂取記録の提出と、居住地や生活状況に関する詳細なアンケートへの解答を求められる。

「菜食主義者か。帝王切開で生まれたか。住んでいるのは農村部か都市部か。犬を飼っているか。そのようなことがすべて人間のマイクロバイオームに影響しうる」とリーチ氏は言う。

 協力の見返りとして、参加者のサンプルは分析され、自分の消化管にどのような生物が生息しているのか、他人の微生物生態系と比較してどうかといったことを調べてもらえる。その比較対象には、リーチ氏が研究しているタンザニアの狩猟採集集団も含まれる(研究成果はまだ発表されていないが、リーチ氏によると、加工度の高い食物を摂取する西洋型の食生活を送る人と、より伝統的な食生活を送る人の消化管には「大きな違い」がみられるという)。

「最近ではヒトのマイクロバイオーム研究が盛んだが、このような機会でもなければ、一般市民が自分の消化管にどんな生物がいるのかを知ることはない」とリーチ氏は言う。

 微生物は消化管においていくつかの重要な役割を果たしている。例えば、胃腸の粘膜を維持したり、病原体から消化管を保護したり、食物からのカロリー吸収や繊維の消化を助けたりといったことだ。

 ある種の細菌が多すぎたり少なすぎたりすると、多くの慢性疾患の大きな要因の1つである炎症を引き起こしかねない。最近の研究によると、糖尿病と肥満には消化管の細菌のアンバランスが関与しているという。

「これは自分で制御できる健康の重要な側面であることを人々に理解してほしい。遺伝子は持って生まれたものだが、マイクロバイオームは食生活やライフスタイルを通じて変えることが可能だ」とリーチ氏は述べている。

 同プロジェクトへの参加者はこれまでに約1000人を数えるが、2月1日の募集締め切りまでに、あと3000人はサンプル採取に協力してほしいとリーチ氏は考えている(ただし参加できるのはアメリカ居住者のみ)。

 プロジェクトの詳細は公式サイト(humanfoodproject.com/american-gut/)で確認できる。

Image by David Phillips, Visuals Unlimited/Corbis

文=Amanda Fiegl

  • このエントリーをはてなブックマークに追加