インタビュー:健康な長寿の秘訣

2012.12.28
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ギリシャのイカリア島に住む98歳の男性。妻との1枚。

Photograph by Gianluca Colla, National Geographic
 イタリアでは誕生祝いの言葉に「Cento di questi giorni(こんな日が100回ありますように)」というのがある。実際に100歳まで長生きするイタリア人は少なくない。 世界のあちこちに、長生きする人の局地的に多い地域が存在する。ナショナル ジオグラフィック協会のフェロー会員であるダン・ビュイトナー(Dan Buettner)氏はこうした地域を「ブルーゾーン」と名付けた。この呼称は、ビュイトナー氏らが十数年かけて作成した地図の中で、これらの地域を青く縁取ったことに由来する。

 ビュイトナー氏の著書『The Blue Zones』(邦訳『ブルーゾーン 世界の100歳人(センテナリアン)に学ぶ健康と長寿のルール』、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、このたび第2版が出版される運びとなった。今回の改訂で、ビュイトナー氏は新たに発見したブルーゾーンとして、ギリシャのイカリア島を紹介している。ナショナル ジオグラフィック ニュースでは、ビュイトナー氏に健康で長生きする秘訣を聞いた。

◆初版では、ブルーゾーンとしてイタリアのサルデーニャ島、カリフォルニア州ロマリンダ、コスタリカのニコヤ、日本の沖縄を挙げています。今回、イカリア島を見いだしたきっかけは?

 プロジェクトの人口統計学者のミシェル・プーラン(Michel Poulain)氏とともに、常に新しい「ブルーゾーンを探しています。。ここが浮上したのは2008年のこと。ギリシャのある財団が進めている高齢者の生物学的マーカーの調査が糸口になりました。統計データでは、この辺りの村に85歳以上の高齢者の割合が高いことがはっきりと示されていました。

◆調査の過程で、興味深い高齢者をたくさんご覧になったと思います。たとえば、カリフォルニア州ロマリンダの100歳、マージ・ジェトン(Marge Jetton)さんは、毎朝1マイル(約1.6キロ)のウォーキング、6~8マイルのエアロバイク走行、さらにウェイトリフティングを日課にしているそうです。特に印象に残っている高齢者はどなたでしょうか?

 間違いなく、イカリア島のスタマティス・モライティス(Stamatis Moraitis)さんですね。たしか102歳、社交好きで有名でね。毎年、ご自分の畑で400リットルのワインを作っているんですが、全部仲間内で飲んでしまう。ご自宅は島の社交のホットスポットになっています。

◆モライティスさんはイカリア島から米国に移り住んだものの、60代のときに肺癌で余命1年以下と診断され、死を覚悟して故郷に戻ったとありますね。そうしたら治療も受けていないのに回復したと。なぜ生き延びられたのかは分かりますか?

 分かりません。モライティスさんは帰国から10年後に一旦米国に戻って、医師の説明を受けようとしたそうです。それで何か分かったかと尋ねたのですが、「私を診た医者はみんな死んでたよ」とのお答えでした。

◆取材された長寿の方々の共通点を考えると、ひとつは生涯にわたって勤勉に働いていること、場合によっては苦難を乗り越えていること、ではないかと思うのですが、いかがですか?

 私たちはひたすら快適性を追求する文化の中に生きていますが、安楽(ease)は病気(disease)につながるんです。苦難から逃げてばかりではいけません。苦難は、人々を結びつけることもあり、歓迎すべきことなんです。

◆アリとキリギリスの現代版のようですね。

 安楽椅子に座っているだけでは満足は得られないでしょう。それより、畑仕事でもして美しいトマトが育つのを見るほうがよほど気分が良いでしょう。

◆食生活についてはどうですか。著書によればイカリア島の朝食にはヤギのミルクが付き物とのことですが、これは私たちの誰にでも簡単に真似できるようなものではないですよね。

 イカリア島の食事は地中海料理の一種で、まったく特殊なものではありません。野菜、豆、果物、オリーブオイルを多用します。それから、適量のお酒。

◆何でもほどほどが良いと?

 何でもというわけじゃありません。たとえば人付き合いは、ほどほどでやめる必要はありません。アメリカでも、特に幸福度の高い人は1日に6時間を付き合いに費やしています。

◆一緒にいる仲間が、長寿の鍵を握っているというわけですね?

 その通り。友達には気をつけましょう。生活習慣が似てきます。飲酒や喫煙量の多い、幸福度の低い人と一緒にいると、あなたの健康にも悪影響が出ますよ。

◆取材から学んだことで、ご自身のライフスタイルに何か変化は?

 大事な教訓の1つは、負担の軽い日常的な活動にはメリットがあるということ。私はかつて、自転車で記録を目指していましたが(ビュイトナー氏は長距離自転車の世界記録を3つ保持している)、現在では自転車は通勤に使う程度です。肉は週1回。職場にはナッツを切らさないようにしています。ナッツをよく食べる人は、そうでない人より2~3年長生きしますからね。

◆人生の目標を持つことも大事だと書かれていますね。

 目標は重大です。私は自分の価値が何であるか、自分のしたいことは何なのかを正確に把握していますが、これは数年の長生きにつながります。お金にはなるけれど自分の人生の意義を損なうような仕事は断るようにしています。

◆それを一言で言い表す言葉を沖縄で聞いたそうですね。

 そう、「Ikigai(生きがい)」です。「何のために毎朝起き上がるのか」という意味だと聞きました。

◆寿命を延ばすことに繋がらない悪い癖はお持ちですか?

 弱点はテキーラですね。

◆ご自身では何歳まで生きたいと思いますか?

 できれば、200歳まで。

Photograph by Gianluca Colla, National Geographic

文=Cathy Newman

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