コウモリの狂犬病、顔の温度で検出

2012.12.20
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オオクビワコウモリ(Eptesicus fuscus)。顔の温度を計れば狂犬病の流行予防に役立つという。

Photograph by Joel Sartore, National Geographic
 コウモリは狂犬病ウイルスの主な保有動物だが、一度感染すると同じコロニーの健康な個体に比べて顔の温度が低くなると判明した。温度を赤外線で計測すれば、野生コロニーを監視する手段が効率化し、他の動物や人間への大流行を未然に防止できると期待されている。 狂犬病は全ての哺乳類が感染する恐ろしい病気だ。人間への感染源は主にイヌだが、アメリカ、ジョージア州アトランタにある米国疾病予防管理センター(CDC)によると、コウモリから他の動物を経て人間に感染する可能性があるという。

 狂犬病ウイルスは、感染した動物の咬み傷から唾液と共に伝染し、脳に侵入する。発症すれば、動物でも人間でも致死率はほぼ100%と非常に高い。感染初期の生前検査も不可能に近く、正確に診断するには脳組織の分析が必要という。

 CDCの狂犬病専門家ジェームズ・エリソン(James Ellison)氏のチームでは、生きたコウモリからウイルスを検出する方法を求めて、飼育下のオオクビワコウモリ(Eptesicus fuscus)のコロニーを調査した。感染したアライグマの鼻部の温度上昇が知られており、コウモリでも同様の結果を予想していたという。

 オオクビワコウモリは狂犬病分析の対象としてよく利用されている。研究チームは通常の体温範囲を調べた24匹にウイルスを注射。赤外線カメラで顔の温度を21日間観察したところ、発症した21匹のうち13匹で摂氏4度を超える低下が見られた。

「低下は予想外だった。狂犬病が引き起こす炎症で温度は上がるはずだ。コウモリでは初めての調査で、詳しい原因はわからない」とエリソン氏は話す。

 研究室の手法では発症したすべての個体を捕捉できなかったが、発症前にウイルスを検出する糸口になるかもしれない。研究チームは測定方法を微調整して、野外での調査を実施する予定である。

 今回の研究は「Zoonoses and Public Health」誌オンライン版に11月9日付けで発表された。

Photograph by Joel Sartore, National Geographic

文=Elizabeth Devitt

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