新種スローロリスを発見、ボルネオ

2012.12.17
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スローロリスの新種、ニクティチェブス・カイアン(Nycticebus kayan)が発見された。

Photograph by Ch'ien C. Lee
 ボルネオ島で霊長類の新種が発見された。スローロリスの一種、ニクティチェブス・カイアン(Nycticebus kayan)だ。 スローロリスは南アジアや東南アジアに生息する小型の夜行性動物だが、生態についてはよくわかっていない。動作が遅く、夜に活動することが大きな原因だ。

 それでも、スローロリスの特徴である顔の模様、“マスク”を見れば種の違いが識別できる。そこで研究チームは先ごろ、ボルネオに生息するスローロリスの一種ボルネオスローロリス(学名:Nycticebus menagensis)について、複数の博物館にあった標本と写真を調べた。

 その結果、3つの別の種が誤ってボルネオスローロリスに分類されていたことが、顔の模様の違いから明らかになった。うち2種はこれまで亜種とされていたもの、残る1種のニクティチェブス・カイアンは完全な新種だ。

 ニクティチェブス・カイアンは「目の周りの模様が非常にユニークかつ印象的で、顎の下まで伸びている。ボルネオに生息する(他の)どの種にも見られない特徴だ」と、研究共著者でミズーリ大学コロンビア校に所属するレイチェル・マンズ(Rachel Munds)氏は話す。

◆毒を持つスローロリス

 全てのスローロリスと同じく、ニクティチェブス・カイアンは毒を持った歯で噛むという哺乳類には珍しい性質を持つとマンズ氏は述べる。今回の研究は、南イリノイ大学カーボンデール校のスーザン・フォード(Susan Ford)氏と、イギリス、オックスフォード・ブルックス大学のアンナ・ネカリス(Anna Nekaris)氏と共同で行われた。

 脇の下近くに毒を出す腺があり、そこから毒を取る際、スローロリスは腺の下に手をこすりつける。「どことなく(テレビ番組)『サタデー・ナイト・ライブ』の出演者(モリー・)シャノンを思わせるしぐさだ」とマンズ氏は笑う。スローロリスがその毒を塗った歯で噛まれると、人間や捕食者はアナフィラキシーショックを起こし、場合によっては死に至る。

 スローロリスは自らの毒を、獲物をとったり、子どもを守る目的にも利用する場合があるとマンズ氏は言う。例えば、母親が餌を探すためにそばを離れる際、子どもの体に毒を塗って捕食者に襲われるのを防ぐことが明らかになっている。

 しかし、そんなスローロリスも、違法なペット取引に手を染めるハンターからは逃れられない。スローロリスがペットとして人気を集めた結果、ボルネオスローロリスは国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧II類(危急)に指定されており、今回見つかった新種も同じ運命をたどるのではないかとマンズ氏は予想している。

 しかし、ボルネオのスローロリスについてさらに研究を進めていけば、これらの「魅力的な生き物」の保護活動に役立つはずだとマンズ氏は述べている。

 今回の研究成果は「American Journal of Primatology」誌に発表される予定。

Photograph by Ch'ien C. Lee

文=Christine Dell'Amore

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