2020年、新たな探査車が火星へ?

2012.12.07
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2020年には火星探査車キュリオシティに仲間ができるかもしれない。

Illustration courtesy Caltech/NASA
 火星探査車キュリオシティ(マーズ・サイエンス・ラボラトリ)の成功に気をよくしたNASAが、2020年に再び同様のミッションを計画している。新ミッションでは、将来地球に送り返すための岩石の採取と保存を行う可能性があるという。 アメリカ地球物理学連合の年次会合において正式発表されたこの計画は、NASAの火星探査プログラムの勝利を意味している。これまで大幅な予算削減に苦しんできた同プログラムだが、NASA科学ミッション局副局長のジョン・グランズフェルド(John Grunsfeld)氏によると、キュリオシティに似た第2の探査車を製造・運用する資金はあるという。その理由としては、予備の部品が多くあり、後継ミッション開発のノウハウを持った工学・科学チームがいることが大きい。

「新たな科学探査車は、大きな成功を遂げたキュリオシティをベースに、新たな機器を搭載したものになるだろう」とグランズフェルド氏は述べている。現在火星にいるキュリオシティが25億ドルかかったのに対し、“キュリオシティ2号”の予算は15億ドルに抑えられる見込みだが、この先まだ連邦議会の承認を得なければならない。

 2020年打ち上げ予定の新探査車は、キュリオシティと同じ重さ1トンの車体を持ち、キュリオシティ着陸時の「恐怖の7分間」に用いられたのと同じスカイクレーン技術を採用するが、搭載する機器は異なる見通しだ。さらには、後で地球に送り返せるよう、火星の岩石を保存する機能を望む声が多い。過去数十年間、キュリオシティをはじめとする火星探査車、衛星、探査機は、火星に関する多くの情報を収集してきたが、いかなる火星探査も、地球の研究者が試料を直接調べることには到底かなわないというのが惑星科学者たちの意見だ。

◆試料を送り返す

 NASAが次の10年間に火星探査で重点を置くべき項目について、包括的な再検討が行われているが、その複数で「サンプルリターン」が最優先項目に挙がっているのは上記のような理由からだ。

「新探査車はきっと良質なサンプル群を収集、保存する機能を持つことになる」と、ニューヨーク州にあるコーネル大学の天文学者スティーブン・スクワイヤーズ(Steven Squyres)氏は述べる。同氏は、惑星科学分野で近い将来実現させたい目標を提案する「10年計画」をまとめた人物だ。「火星に大きなペイロードを着陸させる実績を持ったシステムは既にあり、それがあればサンプルリターンは実現可能だ」。

 第2の探査車がサンプルを採取・保存する機能を備えるかどうかは、今後召集される“科学定義チーム”が決定することになり、探査車にこの作業を行わせることの是非がそこで話し合われる。

 現在の予想では、地球に岩石サンプルを持ち帰るためには3つのミッションが必要となる。第1のミッションはサンプルを選別し、採取し、保存すること、第2はサンプルをまとめて火星軌道上に飛ばすこと、第3はそれを火星から地球まで持ってくることだ。

「サンプルリターンには、過去すべての火星ミッションで得たノウハウを総動員しなければならない」と、かつてNASAの火星探査の中心人物だったスコット・ハバード(Scott Hubbard)氏は述べる。「適切な岩石を適切な領域から見つけ出し、それを採取しにいくためには、われわれが数十年をかけて学んできた科学と技術が必要だ」。

◆火星に再び集まる注目

 キュリオシティの成功は、明らかに火星探査に対する考えを一変させたとハバード氏は言う。オバマ政権が今年、財政緊縮の一環として火星探査プログラムの予算縮小を決定したことを強く批判していたハバード氏だが、今ではこの新たな計画に「大喜び」している。

 NASAが中継したキュリオシティ着陸の模様を5000万人以上が視聴し、その成功に喝采を送ったとハバード氏は言う。もしキュリオシティが異なる結果に終わっていたら、「今頃は火星探査プログラムについて話す内容もかなり違ったものになっていただろう」。

 NASAによると、新探査車に積み込む科学機器の提案募集はまもなく締め切られるという。サンプルリターン用システムについては、現段階で必要とされるのは良質なサンプルを特定し、採取し、探査車内に保存する機能のみだ。「回収する方法が見つかるまで、そのまま火星でしばらく待機させればいい。どのみち岩石だ」とコーネル大学のスクワイヤーズ氏は述べている。

Illustration courtesy Caltech/NASA

文=Marc Kaufman

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