オオニワシドリ、遠近法でメスに求愛

2012.12.04
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
“あずまや”に入ったメス(奥)に求愛行動をするオオニワシドリ。赤いリボンを空中に投げてアピールしている。

Photograph by Tim Laman, National Geographic
“愛は錯覚から生まれる”とも言われるが、ニワシドリはまさに視覚トリックを利用して求愛するようだ。 オーストラリアとニューギニアに生息するニワシドリ(庭師鳥)は、メスに求愛するために手の込んだ“あずまや”を作る習性で有名だ。中でもオオニワシドリ(Ptilonorhynchus nuchalis)は、遠近法のトリックを利用して魅力を高め、さらには、メスに振られても自分の流儀にこだわり続けるという。

 ニワシドリ科のほとんどの鳥は明るい光沢のある物で“愛の巣”を飾り立てるが、オオニワシドリの装飾は比較的地味だ。集めた枯れ枝を立てて通路を作り、その出入り口の“コート(庭)”に、グレーや白の小石、貝殻、骨などを並べる。

 しかし、色は地味でも自分なりの流儀があるようだ。オーストラリア、ディーキン大学の生物学者ジョン・エンドラー(John Endler)氏とローラ・ケリー(Laura Kelley)氏は、オスが作るコートの装飾に特定のパターンを発見した。メスが入ってくる木の枝の通路の先では、大きな飾りほど離れた場所に置き、錯覚の効果ですべての飾りのサイズを均一に見せているという。

 この「強化遠近法(forced perspective)」は、メスを視覚的に楽しませるためか、色の付いた飾りを振るオスの求愛ダンスを見やすくするためと推測されている。詳しい目的は未解明だが、配置の幾何学的パターンが正確なオスの方が求愛の成功率が高い。

 興味深いのは、それぞれのオスが自分の美学にこだわっている点だ。研究チームが遠近法の効果がさらに強まるようにコートの飾りを並べ替えたところ、オスは3日以内に元の“デザイン”に戻したという。

 鳥も人間と同じように、自分の流儀を押し通したい場合があるようだ。

 今回の研究は「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌オンライン版に12月3日付けで発表された。

Photograph by Tim Laman, National Geographic

文=Jennifer S. Holland

  • このエントリーをはてなブックマークに追加