赤く染まる豪州の海、藻が大量発生

2012.11.30
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男性が泳ぐプールの隣には藻の異常発生で赤く変色した海が広がる。オーストラリアのクロブリービーチで撮影。

Photograph by Craig Greenhill, Newspix/Rex
 超現実的な光景に見えるが、合成写真ではない。オーストラリア東海岸の海域一帯で11月27日から藻が大量発生し、海水が異様なほど赤く染まっている。シドニーのボンダイビーチなど、少なくとも10カ所の海水浴場が閉鎖を余儀なくされているという。「赤潮」と呼ぶ現象は、日照時間や海水中の栄養分などが一定条件に達した結果、植物プランクトンが急激に増殖して発生する。今回の赤潮の原因は、渦鞭毛藻(うずべんもうそう)類の1種であるヤコウチュウ(夜光虫)だという。アメリカ、スタンフォード大学の海洋生物学者、ウィリアム・F・ギリー(William F. Gilly)氏は、「藻類の増殖スピードはバクテリア並みの急激さだ」と話す。

 カリフォルニア州サンディエゴにあるスクリップス海洋研究所の研究員、ローレン・フリーマン(Lauren Freeman)氏によると、大規模な赤潮の発生によって魚類が被害を受ける可能性があるという。「藻の死骸が沿岸部の浅瀬に堆積すると、分解過程で酸素が大量に消費される。一時的に溶存酸素濃度の低い領域が生まれ、もし酸素不足が深刻な状態になれば、海洋生物が死滅するケースもある」。

 それでは、赤潮が人体に被害をもたらすことはないのだろうか。ギリー氏によると、藻の種類によってはその危険も否定できないという。ある種の渦鞭毛藻はサキシトキシンという貝毒の1種を産生、麻痺性貝毒による食中毒を引き起こす恐ろしい有毒物質だ。「有毒の渦鞭毛藻が港や入り江で発生した場合には、おそらく深刻な事態になるだろう」とギリー氏は話す。

 ところで、古代マヤ人が世界の滅亡を“予言”した2012年12月21日がすぐそこまで近づいているが、この赤潮がその前触れではないかと不安になる向きもあるかもしれない。だがギリー氏は一笑に付す。「カリフォルニア湾やモントレー湾で何度も見た光景だ。そもそも珍しい現象ではないし、一巻の終わりだなんて心配しすぎだよ」。

Photograph by Craig Greenhill, Newspix/Rex

文=Catherine Zuckerman

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