温帯低気圧になっても勢力保つサンディ

2012.10.31
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巨大暴風雨「サンディ」の影響による降雪でレッカー車も身動きが取れなくなった。メリーランド州西部で10月30日撮影。

Photograph by Gary Cameron, Reuters
 ハリケーン「サンディ」は米国時間10月29日のうちに温帯低気圧に変わったが、いまだ勢力を保っている。何百万もの人が避難し、ニューヨーク市は冠水、過去最高の高潮を記録するなど、すでに米国東海岸の20の州で5000万人以上に影響を与えている。なかなか勢力が衰えないのは、やはりその規模ゆえだ。 30日午前11時(米東部時間)現在、サンディはペンシルバニア州ピッツバーグから東に約200キロの地点を時速約16キロで西に移動している。サンディは非常に規模が大きいため、中心部から400キロ以上も離れたニューヨーク州ロングアイランドでもまだ、高潮による冠水が続いている。

 米国気象局ニューヨーク市支部の気象学者であるティム・モリン(Tim Morrin)氏によると、29日夜にニュージャージー州に上陸した時に比べれば勢力が弱まっているものの、現在でも風速は秒速約18メートルに達し、木々の倒壊や、一部の建物の破損のおそれは残るという。

 また、バージニア、ウェストバージニア、ノースカロライナ各州の山間部では、サンディの影響による降雪が続いている。

 サンディは今後、30日夜まで西へ移動を続け、そこで北向きに進路を変えて、オンタリオ湖を渡って31日朝にはカナダに入ると見られている。その間にも内陸部では冠水などの被害が懸念され、五大湖周辺やニューイングランドの沿岸部では秒速30メートル近い最大風速が予想されている。

◆なぜ巨大化した?

 サンディがいつまでも勢力を保っている理由は簡単だ。「巨大な暴風雨だから」と、フロリダ州の危機管理コンサルティング会社アーリー・アラート(Early Alert)の気象学者マイルス・ローレンス(Miles Lawrence)氏は言う。「現時点で米国の4分の1がこの暴風雨の影響下にあるほどだ」。

 ただし、サンディがこれほどまでに大型化した原因はやや混みいっている。

 サンディは10月22日に熱帯低気圧としてカリブ海南部で発生し、その数日後にバハマ諸島を後にして以来、徐々に“メガストーム”化してきた。

 サンディはノースカロライナ州の沿岸に沿って北上しながら、夏の暴風雨の場合とは異なる気象条件の恩恵を受けてきた。

 マイアミにある米国立ハリケーンセンターの気象学者エリック・ブレイク(Eric Blake)氏によると、秋の一時期には、熱帯性低気圧が、カナダから南下してくる寒冷前線の影響を受け、その結果ハリケーンと冬の暴風雨の性質を併せ持った“ハイブリッドな”暴風雨が誕生しやすいのだという。

 サンディは北上する間にカナダ上空の寒冷前線の影響を受けて、こうした性質を持つようになったという。また、この寒冷前線の存在のために、サンディは東海岸の海上を行く一般的な進路を阻まれ、左に曲がってニュージャージー州に上陸する軌道をとることになったという。

 またサンディは上空のジェット気流の影響も受けることになった。ジェット気流は通常、西から東に向かって吹いているが、現在は流れを変え、南東から北西方向へと吹いている。この通常とは異なるジェット気流の流れにより、サンディの上空に空気の密度の薄い部分が生まれた。その結果、サンディは上方に引き寄せられ、さらに勢力を強めた。

 サンディに甚大な被害を受けた沿岸部の天候は31日にも回復に向かい、ハイブリッド暴風雨となったサンディは北東に進みながら、最終的にはカナダまたは北大西洋の上空で消滅すると見られている。

Photograph by Gary Cameron, Reuters

文=Willie Drye

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