最も近い恒星系に地球大の惑星を発見

2012.10.18
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新発見の惑星に光を投げかける恒星ケンタウルス座アルファ星Bの想像図。

Illustration courtesy L. Calcada, ESO
 われわれの太陽から最も近い恒星系であり、多くのSF作家にインスピレーションを与えてきたケンタウルス座アルファ星には、惑星が少なくとも1つ存在し、今後さらに見つかる可能性があるという研究結果が現地時間10月16日に発表された。 新たに見つかった惑星は、2つの連星のうち小さいほうの恒星、ケンタウルス座アルファ星Bのごく近くを公転しているため、おそらくドロドロの溶岩のような表面をそちらに向けているという。そのような高温ゆえ、われわれの知るタイプの生命体が存在できる惑星ではないとみられる。

 生命の存在するしないにかかわらず、今回の惑星発見は「画期的」だと、ジュネーブ天文台の天文学者で今回の研究の共著者であるステファン・ウドリー(Stephane Udry)氏は言う。

 1つには、この惑星が、現時点で太陽系に最も近い惑星だからだ。加えて、地球に似た質量を持つ惑星が太陽に似た恒星の周りを公転しているのが発見されたのは今回が初めてだと、ウドリー氏はネバダ州リノで開催されたアメリカ天文学会惑星科学分科会(DPS)において語った。

 惑星の存在を示す兆候はかすかなものだが、「これが間違いなく惑星だと確認されることに大いに自信を持っている。この星系にさらなる惑星が見つかることも十分に期待できる」とウドリー氏は述べている。

 今回、惑星の発見に成功したスイスの研究チームは、チリにあるヨーロッパ南天天文台(ESO)の3.6メートル望遠鏡を使ってデータを収集し、その膨大なデータを、ESOに設置されたHARPS(High Accuracy Radial Velocity Planet Searcher、高精度視線速度系外惑星探査装置)を用いて分析した。とはいえ、それは一朝一夕にできることではなかった。チームはこの領域を4年間ほぼ休みなしに観測し、発表するのに十分と思えるデータを集めた。

◆わずかな変動を検出

 スイスチームにとってこれは初めての勝利ではなく、1995年に初めて存在が確認された太陽系外惑星も同チームが発見した。それ以来、チームは今回のケンタウルス座アルファ星の惑星を含め、840個を超える惑星を発見してきた。探索には視線速度法という手法を用いる。望遠鏡と分光器を使って、地球に対する恒星の距離のわずかな変動を検出するものだ。公転する惑星の重力場が主星を引っ張るときに、この特徴的な恒星のふらつきが生じる。

 系外惑星を発見するもう1つの主な手法は、恒星の明るさが定期的にわずかに落ちるのを見つける方法だ。この明るさの変化は、地球から見て恒星の正面を大きな天体が通過(トランジット)していることを示す。今回発見された惑星の存在をさらに裏付けるため、スイスチームが次にとろうとしているのがこの手法だと、研究の主著者でジュネーブ天文台およびポルトガルのポルト大学天体物理学センター(CAUP:Centro de Astrofisica da Universidade do Porto)に所属するザビエル・ドゥムスケ(Xavier Dumusque)氏は述べている。

◆片道4万年の旅

 新たに見つかった惑星は、主星であるケンタウルス座アルファ星Bから約640万キロの距離を公転している。これは水星と太陽よりもはるかに近いため、この惑星の1年は3.2日しかない。

 連星のうちの大きいほうであるケンタウルス座アルファ星Aは、アルファ星Bとは十分に離れているため、この惑星や同星系に存在しうる他の惑星に影響を及ぼしている可能性は低い。ケンタウルス座アルファ星系を構成する3つ目の恒星、プロキシマ・ケンタウリは、他の2つの恒星と重力で結びついてはいるが、これら2つとはかなり距離がある。

 新たに見つかった惑星は、「最も近い惑星」と呼ばれてはいるが、それでも地球から4光年の距離がある。現時点で最も高性能の無人探査機を使っても、到達に約4万年はかかると、カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)の天体物理学者グレッグ・ラフリン(Greg Laughlin)氏は述べている。同氏はスイスチームの一員ではないが、研究の記者会見に同席した。

 しかし「ケンタウルス座アルファ星に到達すべきだという機運が高まった場合」、例えば、ケンタウルス座アルファ星Bの周囲、それも生命の生存に適した温度のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)にさらなる惑星が見つかった場合には、状況は変わる可能性があるとラフリン氏は言う。そうなれば「人間の寿命の範囲内で地球からそこまで到達できる宇宙船を作る技術が開発されるかもしれない」。

 今回の研究成果は、10月17日付で「Nature」誌オンライン版に発表された。

Illustration courtesy L. Calcada, ESO

文=Marc Kaufman

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