火星に広範囲な水系、川床の跡を発見

2012.09.28
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キュリオシティが撮影した、岩石の周囲に散らばる小石(左)。風で吹き寄せられたと考えるには、サイズが大きすぎるという。右は地球の同様の地形。

Image courtesy MSSS/Caltech/NASA and PSI
 NASAは9月27日、火星探査車キュリオシティが、水の直接的な証拠を見つけたと発表した。 着地点のゲイル・クレーター付近で、丸い小石や砂利を発見。現在は完全な乾燥状態の火星の表面に、足首から腰程度の深さの速い川が流れていたという。しかもその水流は、数千年~数百万年も続いたとも推測されている。ただし、期間を特定するには、さらなる調査が必要となる。

 今回の発見は、水の存在を示す初の直接的な証拠である。衛星画像からは切り立った峡谷や川床のような地形が確認されており、かつて水が流れていたとの仮説が立てられていた。その裏付けをついにキュリオシティが手に入れたことになる。

 調査チームの地形学者ウィリアム・ディートリック(William Dietrich)氏は次のように話す。「水流によって砕かれ、表面が滑らかになったのは明らかだ。水量や存在期間について、研究を進めていきたい」。

◆生命の可能性

 発表は、キュリオシティの管制センターが置かれているカリフォルニア州パサデナのNASAジェット推進研究所(JPL)で行われた。チームの地質学者ジョン・グロツィンガー(John Grotzinger)氏によれば、川床の小石は太古の生命の可能性を示すという。「ただし、必要な物理的条件の一部が見つかった段階だ。生命には、水、エネルギー源、有機炭素が欠かせない。今回、水に関する分析が可能になった」。

 小石などは、キュリオシティ搭載の2つの実験設備で化学分析される予定。ただし、その場ですぐに実施されるとは限らないという。

「最終目的地のシャープ山に移動する方が重要だ」とグロツィンガー氏は説明する。山の標高は5500メートル、ゲイル・クレーターの中心にそびえている。「とはいえ、生命を育む環境が可能性と言えども見つかった。順調な歩みには違いない」。

 キュリオシティの主目的は生命体の探索ではなく、生命体を構成する物質や環境の調査である。その行程が始まってから、51火星日(1火星日は約24時間40分)が経過した。

◆予想よりも広範囲?

 着地点付近の水系は約520平方キロに広がっていたとディートリック氏は推定する。川はクレーター壁を越えた標高の高い地点から始まり、「ピース谷(Peace Vallis)」を18キロの距離にわたってゆっくりと流れ下っていたようだ。ピース谷の下には約50平方キロの扇状地(堆積物が積もった扇形の地形)が形成された。ピース谷での川幅は約610メートルと考えられている。

 最も興味深い小石や砂利はアメ玉ほどのサイズで、着地点に近い3カ所の礫岩(れきがん)から見つかった。まず、着地時のエンジン噴射によって、「ゴールバーン(Goulburn)」と名付けられた露頭が出現。その後、「リンク(Link)」、「ホッター(Hottah)」という露頭も確認された。

 惑星科学研究所の地質学者レベッカ・ウィリアムズ(Rebecca Williams)氏によると、調査チームはピース谷の扇状地が着地点付近まで広がっているとは予想していなかったという。水が存在した範囲も、当初の予測より広い可能性がある。

「石の丸い形状を見ると、別の場所から移動してきたとわかる。風で移動するには大きすぎるので、水流が存在したに違いない」とウィリアムズ氏は述べている。

◆早い公表

 成果を即座に公表した理由として、グロツィンガー氏はデータの信頼性の高さを挙げた。また、以前の衛星画像で確認されていた峡谷や扇状地と、キュリオシティが観測した地形の関連性も明らかになってきたという。

Image courtesy MSSS/Caltech/NASA and PSI

文=Marc Kaufman

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