“ライライガー”誕生、ロシアの動物園

2012.09.24
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おそらく世界に1頭しか存在しない“ライライガー”の赤ちゃん。

Photograph courtesy Novosibirsk Zoo
 ライオンとトラを掛け合わせた動物、ライガーの名前は聞いたことがあるだろう。映画『バス男』(2004年米)の主人公のお気に入りとしてネタにされている動物だ。ところがこのほど、ロシアの動物園が“ライライガー”という動物の写真を公開した。ライオンの父とライガーの母から生まれた子どもで、名前を“キアラ”という。 先ごろノボシビルスクの動物園で生まれたこのライライガーは、おそらく世界にたった1頭しか存在しない。ぬいぐるみのようにかわいい赤ちゃんだが、ライガーやライライガーといったネコ科の異種間交配種に、大型ネコ科動物の保護活動家は深刻な懸念を抱いている。

 ライガーは、ライオンのオスとトラのメスの交配によって生まれる。ミネソタ大学ライオン研究センター(Lion Research Center)所長のクレイグ・パッカー(Craig Packer)氏は、これまでライライガーが生まれたという話は聞いたことがなかったが、実際に生まれたことは「驚きではない」と話す。

 ライガーはすべて人間の飼育下で生まれており、自然界には存在しないとパッカー氏は言う。野生下ではライオンとトラの生息地は分かれており、また、両種間の交配を阻む行動メカニズムが存在するためだ。

「トラがライオンのメスと交配しようとすると、すぐに他のライオンたちによって追い払われてしまう。逆の場合も同様だ」とパッカー氏は述べる。同氏はナショナル ジオグラフィック協会およびウェイト財団(Waitt Foundation)から研究資金を受けている。

◆ライライガーはネコ科動物の保護に無益

 しかし、飼育下では事情が異なる。他に選択肢がない場合、ライオンとトラは交配することがある。「ライオンとトラは進化の過程で約700万年前に異なる種に分かれた。しかし現在もなお、両種の間は子どもが作れる程度に近縁だ」とパッカー氏は言う。

 野生下では、キアラのような動物は「おそらく大変な混乱に陥るだろう」とパッカー氏は想像する。「ライオンは遺伝的に社交的で互いに協力しあう性質を持つのに対し、トラは遺伝的に非常に気難しく群れることを嫌う生き物だ」。

 一部の国の動物園では、(おそらくは宣伝目的で)ネコ科動物を異種間交配させているが、アメリカの動物園では通常行っていない。北米の動物園の認可団体であるアメリカ動物園水族館協会(AZA)の広報担当者スティーブ・フェルドマン(Steve Feldman)氏によると、AZAではライガーを作ることを認めておらず、認可動物園ではライガーを生ませていないという。最近の動物園では、代わりに野生動物保護プログラムに力を入れていると同氏は述べている。

 ライオンの研究にキャリアをささげてきたパッカー氏は、動物園がライライガーなどの交雑種を生ませる理由がわからないと話す。「保護の観点から見れば、そうした行為は何の足しにもならない。あまりに方向が違いすぎて、的外れとさえ呼べないレベルだ」。

Photograph courtesy Novosibirsk Zoo

文=Katia Andreassi

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