2つの小惑星が地球に近づいていることを最初に発見した、アリゾナ州で実施されている観測プロジェクト「カタリナ・スカイサーベイ(CSS)」の望遠鏡。

Photograph by Cantalina Sky Survey
 2つの小惑星が地球のそばを通り過ぎる、ダブルフライバイと呼ばれる珍しい現象が間もなく起きる。片方の天体は比較的大型の望遠鏡があればアマチュア天文愛好家でも観察できるほど地球に接近する。また、カナリア諸島の天文台からのインターネット中継も実施される。 これらの小惑星は、それぞれ「2012 QG42」「2012 QC8」という名で呼ばれており、2012年8月26日、アリゾナ州で実施中の観測プロジェクト「カタリナ・スカイサーベイ(CSS)」で用いられている自動望遠鏡により最初に発見された。2つの小惑星は速度を増しながら地球と月のある方向に進んでおり、間もなく地球に最も近づく予定だ。

 2つの小惑星のうち、QC8は直径約1キロで、地球に最も近づいた際の距離は約870万キロと推定される。これは地球と月の間の距離の23倍に相当する。一方、QG42は直径190~430メートルと比較的小型だが、かなり近くまで地球に接近するので、天体観測者にとってはより見ごたえのある観察対象となるだろう。

 QG42はおおむね14階建ての建物ほどの大きさで、かなり地球に近づくことから、地球に衝突する恐れのある小惑星(PHA)として正式に認定された。

 米東部夏時間9月14日午前1時10分(日本時間14時10分)、QG42は地球に最も近い位置を通過するが、その際の距離は月の公転軌道までの距離のわずか7.5倍の280万キロにすぎない。

 軌道の計算を見る限り、QG42が今回のフライバイ(接近通過)で地球に危険をもたらす可能性はないが、この小惑星にとっては過去100年間で最も地球に近づいた事例であり、今後脅威となる可能性はあると、カリフォルニア州パサデナにあるNASAジェット推進研究所(JPL)で地球近傍天体(NEO)プログラムの責任者を務めるドン・ヨーマンス(Don Yeomans)氏は指摘する。

「我々が把握している(QG42と)同サイズ、あるいはそれ以上の大きさを持つPHAは1700個ある。このサイズの小惑星は平均して4万年に一度、地球に衝突するものと考えられている。衝突した場合、そのエネルギーはTNT火薬換算で140メガトンに相当する」と、ヨーマンス氏は述べている。「このような小惑星が衝突した場合、直径約3キロのクレーターができるはずだ」。

 あと数時間のうちに、QG42は地球に最接近し、最も明るく見えるようになる。天空での位置を突き止め、観測するには、少なくとも口径12インチ(30センチ)サイズの望遠鏡が必要だ。しかし、インターネットを用いた天体観測サービス、スロー(SLOOH、www.slooh.com)が、カナリア諸島に置かれたロボット望遠鏡でこの小惑星を追い、Web上でフライバイの様子を中継することになっている。この中継は米国東部夏時間午後7時(日本時間午前9時)から始まっている。

 地球の軌道を横切る1キロ以上の大きさの天体のうち90%は記録されており、その中に当面脅威となるものはないと、ヨーマンス氏は解説する。そのため、現在の焦点は、QG42のような、140メートル以上の大きさの地球近傍天体の追跡に移っているという。

「このグループでも、40%程度の天体が特定されており、今のところ脅威となるものは1つもない」とヨーマンス氏は言う。「その結果、地球近傍小惑星が地球に衝突するリスクのうち95%以上は、現在では退けられている」。

Photograph by Cantalina Sky Survey

文=Andrew Fazekas