絶滅危惧の100種、IUCNが刊行

2012.09.12
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インドネシア、スマトラ島のランプン州で寄り添うスマトラサイの母子(2012年6月撮影)。開発による生息地の破壊、角目的の乱獲などにより生息数は激減しており、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは絶滅危惧IA類(絶滅寸前)に分類されている。

Photograph by Ch'ien C. Lee, AP
 IUCNは絶滅危惧種の行く末を憂う書籍『Priceless or Worthless?』を発表した。同書ではIUCNの専門家が選んだ絶滅の危機に逼迫する生物100種を紹介している。なお、同書はオンラインでも無料で閲覧できる(英語)。 著者の1人でロンドン動物学協会(ZSL)の保全プログラム・ディレクターであるジョナサン・ベイリー(Jonathan Baillie)氏は、韓国の済州島で9月6日から開催されているIUCNの第5回世界自然保護会議の記者会見で11日、本書について「自然についての考え方を問うものだ」と述べた。

 人類の利益と自然という無形の価値を天秤にかけるような考え方を続けるなら、「この本で紹介している素晴らしい生物種の存在を正当に位置づけることができなくなる」という。

「絶滅危惧種を保護し、世界の生物多様性を維持する責任が私たちにあるのは言うまでもない」。

 自然保護に携わる人は、結集して種の保護を進めなければならない。それは、地球の未来にとって正しいことだという倫理的基準に基づくものだと同氏は指摘する。

 同書で取り上げている絶滅危惧種100種の約半数については、飼育下繁殖や狩猟禁止区域の設置などの保護対策がほとんど実施されていない。

 同書が扱っているのは深刻な状況ばかりではない。ザトウクジラ、プシバルスキーウマ、チャタムヒタキ、モーリシャスチョウゲンボウなど、絶滅の危機を脱した動植物も紹介している。ザトウクジラの場合、捕鯨規制と生息域の保護が個体数の回復につながった。

「絶滅してよい種などない。決意と創意工夫が求められている」と同書では述べている。

「決断が迫られている。今にも消え去ろうとしている彼らを掛け替えのない宝と思うのなら、迷っている時間はない」。

Photograph by Ch'ien C. Lee, AP

文=Christine Dell'Amore in Jeju, South Korea

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