深海の希少フサアンコウ、初の詳細研究

2012.08.24
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深海の岩場を漂う“赤い風船”のようなフサアンコウ(学名:Chaunacops coloratus)。

Image courtesy MBARI
 アメリカ、カリフォルニア州セントラルコースト沖合の深海で2010年、遠隔操作無人探査機(ROV)が希少なフサアンコウ(学名:Chaunacops coloratus)を撮影した。 コスタリカ沖の太平洋にあるココス海嶺で死骸1匹が発見されたのは、1世紀以上前の1891年。独立した種と認定されたが、生きた個体は長年確認されていなかった。

 モントレー湾水族館研究所(MBARI)の研究員ロニー・ルンドステン(Lonny Lundsten)氏は、「生きた状態で記録されたのは、2002年が初めてだった」と話す。

 その1匹は、モントレー湾の南西約130キロ沖合にあるダビッドソン海山付近で確認されたという。8年後の2010年、同湾の西330キロに広がるトーニー海山(Taney Seamounts)の遠征調査で、新たに6匹を発見。詳細な研究が可能になった。

 岩の間に身を潜めて獲物を待ち伏せている。頭部から出た誘因突起先端部の膨らみ「エスカ(esca)」をルアーのように使っておびき寄せているという。ルンドステン氏は、「待ち伏せが得意で、何かが通りかかると、大きな口を開けてなんでも飲み込んでしまう」と説明する。

 ROVでの探索中に、目と目の間にあるU字状の特殊なくぼみに“釣り道具”をしまう様子が観察された。

 撮影された動画には、胸ビレと腹ビレを使って海底を“歩行”する姿もとらえられていた。歩行していた水深は約3300メートル。短距離なら歩いた方がエネルギー効率が良いからと考えられている。また、周囲をあまりかき乱さずに済むため、獲物に気付かれにくいメリットもあるという。

 2010年の調査では、赤やバラ色の個体だけという定説も覆った。「実は、赤いのは全部大きくて、小柄なフサアンコウはほとんどが青い。幼生の頃は透明な青で、成魚になると赤に変化するのだろう」とルンドステン氏は述べる。

 研究の詳細は「Deep Sea Research Part I」誌オンライン版に6月16日付けで発表されている。

Image courtesy MBARI

文=Ker Than

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