夜光雲の発生、流星の燃えかすが促進

2012.08.21
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カナダ、アルバータ州上空で5月に観測された夜光雲。

Photograph by Chris Martin, Your Shot
 ミステリアスな夜光雲(やこううん)と、流星の通り道に残る流星煙には密接な関わりがあることが、最新の研究によって明らかになった。 過去5年間に撮影された衛星写真から、高緯度地方で発生する夜光雲の形成のメカニズムが初めて明らかになった。水蒸気が流星煙の微小な粒子を核として氷晶になるのが、その第一段階だという。

 夜光雲は、極地域上空の高度80キロ付近に夏の期間に発生する。地表に近いところで発生する水蒸気の雲が白く見えるのに対し、夜光雲はエレクトリックブルーの輝きを発する。これは、夜光雲に含まれる細かな氷晶が、青い光を散乱しやすい性質を持つためだ。

 今回の研究には、バージニア州にあるハンプトン大学の大気科学者ジェームズ・ラッセル(James Russell)氏らが参加した。チームはNASAの中間圏観測衛星AIMのデータを用いて、夜光雲の氷晶に流星煙が含まれることを化学的に特定した。

 今回の研究によって、氷晶の体積のうち約3%をナノレベルの流星煙粒子が占めていることが判明した。

◆夜光雲の増加はメタンのせい?

 さらに今回明らかになったのは、夜光雲の発生が増加傾向にあることだ。その原因はおそらく人類の活動にあるとラッセル氏は言う。 「地球の上層大気は変動しつつあるが、詳細はよく分かっていない。夜光雲は発生頻度が増え、より輝きを増し、赤道方向へ少しずつ下がってきている。これはメタンによるものだろうと私は確信している」とラッセル氏は言う。

 メタンは、廃棄物処理場や燃料精錬所など、人類の設置した施設から放出される。家畜や人類の体からも発生している。メタンは温室効果ガスとして作用するだけでなく、地球のオゾン層より上空の高度100キロ付近まで到達すると、水蒸気を余計に発生させる。

 ラッセル氏によると、水蒸気の量は過去30年間で15%増加しており、これはメタンガスの増加と歩みを同じくするものだという。夜光雲が20~30%明るくなり、発生頻度が5倍に増しているのも、おそらくこの水蒸気の増加が一因であるとラッセル氏は言う。

 夜光雲の発生には「3つの要素が必要だ。気温が極めて低いこと、水蒸気、そして氷晶の核となる粒子の存在だ。今回ついに、この粒子が流星煙であると突き止めた。そしてメタンの働きによって水蒸気が増えていると考えられる」とラッセル氏は言う。

 流星煙と夜光雲の関係についての今回の論文は、「Journal of Atmospheric and Solar-Terrestrial Physics」誌の8月号に掲載された。

Photograph by Chris Martin, Your Shot

文=Dave Mosher

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