LED街灯の増加で夜空が青くなる?

2012.08.15
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アメリカ、シカゴの夜景(資料写真)。雲間に覗く町並みが、オレンジ色の輝きを放っている。

Photograph by Jim Richardson, National Geographic
 黄色やオレンジ色の街灯が白色の省エネ型照明に交換されると、夜空が徐々に青味を帯びる可能性があるという。 青みがかった輝きを放つ発光ダイオード(LED)は、赤色の光害源となる業界標準の街灯と比べると、エネルギー効率が約20%高い。

 LEDのエネルギー効率は、今後数年で40%へ倍増すると予測されており、世界各国の政府自治体が導入に踏み切るのは確実だ。省エネに加え、長い寿命やメンテナンスコストの削減などのメリットも見逃せないと専門家は指摘している。

 しかし、LEDの普及が光害の色にもたらす変化は予測が難しい。夜行性の野生動物が青い光にどう反応するかも未知数だ。例えば、産卵のため陸へ上がってきたウミガメが人工光で混乱に陥るケースも考えられる。

 今回の研究を率いたドイツ、ベルリン自由大学の物理学者クリストファー・カイバ(Christopher Kyba)氏らは、「世界規模でのLED街灯への移行は、動物の概日リズム(約24時間を周期とするリズム)の乱れや大気汚染など、多様な分野に影響を及ぼす可能性がある」と指摘する。

「移行が本格化する前に、光害による夜空の明るさを長期間にわたって観測する必要があった」。

◆曇り空の観測

 研究では、屋上に簡易的な装置を設置して首都ベルリンの光害を測定した。主に黄色やオレンジ色の街灯が使用されているが、その多くが青味を帯びたLEDに切り替えられている。

 装置として用意されたのは光測定器5台。それぞれ異なる調整を施し、明るさ測定用に1台、赤、青、緑の各波長測定に3台、較正用に1台を準備。データは耐候性のボックスの中に入れたノートPCで記録した。

 数カ月分のデータを分析したところ、曇った夜は赤が青の2倍の明度と判明。一方、澄み切った夜空の場合、青の方が強くなっていた。

 つまり、青色のLEDが増加すると、快晴の夜は輝きが増すことになるだろう。晴れた日の空では、青い光がより散乱しやすいのと同じメカニズムである。

◆光害に対する意識

アメリカ、ニューヨーク州のレンセラー工科大学の生物物理学者で照明を研究するマーク・レア(Mark Rea)氏は、光害に全面的に反対する立場を取っている。だがレア氏は、色よりも光の照度の方が深刻な問題と指摘する。「単位面積当たりの光の量に焦点を当てるべきだ」と同氏は話す。

 レア氏らは、政府や企業向けに、照明機器のムダを評価するための測定基準を既に策定している。例えば、上向きに放たれる光は光害の原因となるが、下向きの光は市民の足元を照らすという本来の役割を果たす。

「今回の色に関する測定結果は意味があると思う。しかし、私たちが取り組んでいる問題に比べれば、優先度は低いだろう」とレア氏は述べている。

 研究の詳細は、「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」誌オンライン版に8月2日付けで発表された。

Photograph by Jim Richardson, National Geographic

文=Dave Mosher

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