過去最大の3D宇宙マップが完成

2012.08.10
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SDSS-IIIによりマッピングされた銀河の数々(動画からの静止画像)。

Image courtesy Aragon/SubbaRao/Szalay/Yao, JHU/Adler/LBNL/SDSS-III Collaboration
 過去最大の規模を持つ3D宇宙マップが作成された。これまでで最も詳細な宇宙の姿が明らかになったと評価されている。 6年におよぶスローン・デジタル・スカイサーベイIII(SDSS-III)プロジェクトの最大の成果となるこの3Dマップは、最も遠いもので地球から120億光年先にある、100万に近い数の銀河の位置を特定した。マップの作成にあたっては、数千の銀河それぞれまでの距離を同時に計測できる分光装置も用いられた。

 この3Dマップ内を移動する様子をとらえた動画は、SDSS-IIIのWebサイトで公開されている。

「現在行われている調査はこれまでで最も大規模なもので、これまで最大だった調査と比べても、そのデータ量は3倍以上になる」と、マサチューセッツ州ケンブリッジにあるハーバード・スミソニアン天体物理学センターに在籍する天文学者で、このプロジェクトの責任者を務めるダニエル・アイゼンシュタイン(Daniel Eisenstein)氏は説明する。

「我々の最終的な目標は全天の4分の1を調査することだが、現時点ではおそらくそのうち3分の1ほどを終えただけにすぎない」。

 ニューメキシコ州にあるアパッチポイント天文台で集めたデータを用いて作成されたこの3Dマップを用いて、アイゼンシュタイン氏をはじめとする研究チームは「暗黒エネルギーの性質をより詳しく解き明かしたい」と考えている。暗黒エネルギーとは、宇宙の加速的な膨張の原動力となっている、未知の力のことだ。

 多くの銀河を3D空間にプロットすることで、暗黒エネルギーのおよぼす力が「宇宙の歴史の中でどう変化してきたか」をより的確に把握できるはずだとアイゼンシュタイン氏は述べている。

◆初期の宇宙の姿を垣間見る機会にも

 既にSDSSチームは、銀河団の距離を計測し、これらのデータが暗黒エネルギーを考慮に入れた宇宙構造モデルと整合しているように見えることを確認している。

 個々の銀河の地球からの距離を正確に測定することで、アイゼンシュタイン氏をはじめとする研究者は、数億光年の範囲に広がる複数の銀河団のマッピングに成功した。

 これほど詳細なデータが得られたことで、初期の宇宙の姿についても、ある程度の推定が可能になった。はるか遠方の銀河の光は、数十億年の時間をかけて地球に到達するからだ。

 宇宙の誕生後間もない時期には、後に現在観測されている銀河団を形成することになる物質の密度は不均質で、所々に物質が密集している部分があった。引力の働きにより、密度の比較的高い物質は、他の密度の高い物質と引かれあうと、アイゼンシュタイン氏は説明する。

 時が経つにつれ、宇宙空間の密度の高い部分と低い部分の差は広がり、現在のようなクラスター構造のパターンが生まれた。

 アイゼンシュタイン氏によると、このパターンは「ビッグバンの最初の瞬間に刻まれたものがそのまま今にまで残っている」のだという。

「現在の宇宙についてこのような調査を行っているのも、これがはるか過去に起きたことを伝えてくれる、化石記録のような存在だからだ」。

Image courtesy Aragon/SubbaRao/Szalay/Yao, JHU/Adler/LBNL/SDSS-III Collaboration

文=Andrew Fazekas

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