チーターのサラ、100Mを5秒95

2012.08.03
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シンシナティ動物園で飼育されているチーターの「サラ」が6月20日、100メートル走で5秒95の新記録を出した。

Photograph by Ken Geiger, National Geographic
 チーターの「サラ」が、立った状態からスタートする100メートル走で5秒95のタイムをマークし、“世界記録”を更新した。これに比べると、オリンピック選手ウサイン・ボルト(Usain Bolt)の持つ100メートルの世界記録9秒58がずいぶん遅く感じられる。 オハイオ州のシンシナティ動物園が8月2日に発表したところによると、11歳のサラは同動物園が設置した全米陸上競技連盟(USATF)の認定コースを走り、レーダー計測で最高時速98キロをマークしたという。このニュースを報じた米ナショナル ジオグラフィック誌は、同誌プロジェクトのためにサラを含むシンシナティ動物園の複数のチーターを撮影しており、チーターの動きをとらえた、これまでにない高速撮影写真などを11月号に掲載する予定だ。

 サラが6月20日に出した100メートル走のタイムは、これまで地球上の生物が出した最速記録だという。しかし、シンシナティ動物園キャット・アンバサダー・プログラム(Cat Ambassador Program)の創始者で、サラを子どものころから育ててきたキャスリン・ヒルカー(Cathryn Hilker)氏にとっては驚きではない。

「誰もサラのように走ることはできない。彼女は特別だ。6秒以下で走れることは以前からわかっていたが、それが実現するのを見るのは素晴らしい気分だ」とヒルカー氏は言う。

「サラはまるで水玉模様のミサイルのようだった。あれほど速く走る生物を見たことがない」と、ナショナル ジオグラフィック誌の写真編集者であるキム・ハバード(Kim Hubbard)氏も述べている。

◆チーターたちの“オリンピック”

 写真撮影の際、5頭のチーターはそれぞれ1日数回のスプリント(短距離走)を行った。彼らにとってそれはゲームのようなものだった。動物園のバンの後部から飛び出し、ひもにつながれ高速で引っ張られる犬のぬいぐるみを追って草原を駆けた。

 チーターたちはもともと長めのスプリントには慣れている。自然界の最もわくわくする光景の1つを見ようと動物園を訪れる人々の前で、いつも走ってみせているからだ。

 このデモンストレーションは、運動の必要なこれらチーターにとってだけでなく、彼らの種全体にとっても、他の支援プログラムと並んで有益な効果をもたらしている。チーターたちが動物園の“陸上スター”として人気を集めてくれているおかげで、保護のための資金はこれまでに100万ドル以上集まっている。またナショナル ジオグラフィック誌の今回のプロジェクトは、ナショナル ジオグラフィック協会のビッグキャッツ・イニシアチブ(Big Cats Initiative)の支援を受けて行われた。

◆野生のチーターはさらに速い?

 一方で、技術者、トレーナー、写真家にとって、撮影の日々は長く、暑く、困難なものだった。チーターがいくら陸上生物の中で最も速く、ランボルギーニに匹敵する加速を誇るといっても、彼らにも1頭1頭で違いがある。「彼らも人間と同じで気分に波がある。そしてまた人間と同じように、アスリートとしての能力や追いかけることへの熱心さにも個体差がある」とヒルカー氏は言う。

 スプリントは全部で30回以上行われたが、動物園の5頭のチーターが記録した100メートルのタイムは、サラの5秒95という猛烈に速いものから、若いオスのチーターが気もそぞろにゆっくり走って出した9秒97という平凡なタイムまでさまざまだった。

 サラの5秒95という記録は、人間と比べると驚異的に速いように思えるが、引き締まった体を持ち、腹をすかせ、自分や自分の子どもたちが生きるためにレイヨウを追いかける野生のチーターがそれよりずっと速く走っていることはまず間違いない。「今回のことは、少なくともチーターたちにとっては純粋な遊びだ。彼らはあとで餌をもらえることを知っている。ゴールラインが見えている」とヒルカー氏は述べている。

Photograph by Ken Geiger, National Geographic

文=Roff Smith in Cincinnati, Ohio

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