古代オリンピックの驚くべき姿(1)

2012.07.30
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古代ギリシャの壺の絵からは、スポーツとエンターテイメントの結び付きが読み取れる。

Photograph from Ace Stock Limited/Alamy
 まるでスポーツだけでは不十分とでもいうように、古代オリンピックは“異教的な娯楽の詰め合わせ”だったという。今年のロンドン五輪にも劣らない印象的な開会式に続いて行われたのは、“古代のウッドストック・フェスティバル”だった。公衆衛生の欠如、売春のまん延、骨折、動物の生贄、ドーピングなどの疑問について、『驚異の古代オリンピック』(原題:The Naked Olympics: The True Story of the Ancient Games)の著者トニー・ペロテット(Tony Perrottet)氏に解説してもらった。◆オリンピック競技会は紀元前776年から紀元394年まで、4年に1度開催されていました。定期的なイベントとしては古代で最も長続きしましたが、その理由は何でしょう?

 壮大なショーだったからです。スポーツは心を奪うような祭典の一部にすぎませんでした。古代世界で最も神聖な場所で開催された、最初にして最高の宗教行事だったのです。伝統的で神聖な雰囲気に包まれていました。

 現代のオリンピックも大規模なイベントですが、宗教的な要素はありません。当時はスポーツと同じくらい、生贄や儀式に時間が費やされました。

◆現代の競技会は競争、友情、文化という高貴な理想を掲げています。昔も同様の理想があったのですか?

 古代オリンピックと聞くとセンチメンタルになりがちです。しかし、紳士的な振る舞いや騎士道といったロマンティックなイメージのほとんどは、19世紀ビクトリア朝の学者の創作です。

 おそらく当時の競技会の理想で最も印象的なのは、期間中の停戦でしょう。観客や選手が安全に会場までたどり着けるよう配慮した聖なる停戦です。ただし、古代ギリシャ人はすべての戦争を止めようとするほど理想家ではありませんでした。ギリシャ外に起因する戦争は続けられていました。つまり、競技会の運営が妨げられることを嫌ったのです。

◆古代オリンピックの起源は?

 時間のかなたに消え去ってしまいました。神話的な理由はいくつもあったようですが、確かな起源を知る者はいません。

 本質は最高神ゼウスにささげる祭典競技で、ギリシャではいくつものスポーツ大会が催されていましたが、ゼウスの神聖さのおかげで特にあがめられるようになったのです。

◆開会式の内容は?

 現代と同じくらい壮大でした。選手は整列して神殿に入り、雷をも操るゼウスの像の前で宣誓を行います。血が滴るイノシシ肉がささげられており、選手たちはルールの遵守と不正の防止を誓います。

◆選手はどのような準備をしましたか?

 競技会の1カ月前には、近くの都市エーリス(Elis)への集合が義務づけられていました。これが選手村の起源です。過酷なトレーニングが待っており、基準に達していない者は振るい落とされました。

◆選手は特別な食事をとっていたのですか?

 現代と同様、理にかなっているとは思えない食事もありました。しかし、伝統的な食事は非常にシンプルで、オリーブ、パン、フェタチーズ(ヤギや羊の乳から作られるチーズ)に適量の肉というメニューです。

 定められた方法で食べるトカゲの肉など、運動能力を向上させる強壮剤も多数出回っていました。

◆なぜ選手は裸だったのですか?

 真相はわかりません。あるランナーの腰布が外れ、つまずいたことをきっかけに、すべての選手が身に着けるのをやめたという説もあります。

 古代ギリシャの文化を語る上で、裸体を欠かすことはできません。裸は人々の自己顕示欲や虚栄心に訴えました。

 しかし、ペルシャやエジプトなど他の文化から見ると、ギリシャの男たちが互いの体に油を塗り、泥の中でのたうち回る姿はとても奇妙な光景であり、性的倒錯の原因であると考えられていました。

Photograph from Ace Stock Limited/Alamy

文=Stefan Lovgren and Ted Chamberlain

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