環境への罪悪感、最下位はアメリカ

2012.07.13
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自転車、電動自転車、モペット(原動機つき自転車)で通勤、通学する人々(中国、上海で2008年撮影)。

Photograph by Eugene Hoshiko, AP
 アメリカの消費者は、環境と調和する持続可能な行動が他国に遅れを取っている。しかも、自らが環境に及ぼす影響に罪悪感を抱く割合が最も低い。ナショナル ジオグラフィックの新たな調査で判明した。 ナショナル ジオグラフィック協会と国際世論調査機関グローブスキャンが発表した、2012年度の「グリーンデックス(Greendex)」調査レポートによると、個人の行動が環境保護につながると信じる割合が最も高い国もアメリカという。

 グローブスキャンのサステナビリティ担当者エリック・ワン(Eric Whan)氏は、「消費文化にどっぷり浸かっているアメリカは、環境問題でもなんでもカネで解決できるという考え方が染みついている。しかし、大量消費が環境に負荷をかけている実態を人々は認識する必要がある」と指摘する。

グリーンデックスは、ナショナル ジオグラフィック協会とグローブスキャンが2008年から3年続けて実施している調査で、今回が4度目。インターネットを利用し、世界17カ国の消費者1万7000人に「住宅」、「交通」、「食品」、「消費財」について質問し、環境に対する姿勢と行動を評価している。

 2012年度も、環境と調和した持続的な消費行動の項目でアメリカが最下位となり、2008年からの連続記録を伸ばした。さらに、環境にもたらす影響に罪悪感を抱く消費者の割合も、わずか21%と最低クラスだった。その一方、自分たちが環境保護に熱心だと信じる割合は47%に上り、世界で最も高い。

 インド、中国、ブラジルは、グリーンデックス得点が50点代後半と軒並み高かった。しかし、環境への影響に対する罪悪感が高く、個人の力が環境保護に役立つと信じる割合は低かった。

◆環境に対する罪悪感

「エネルギー消費などを土地面積に換算した“エコロジカル・フットプリント”の最も小さい国々ほど、環境に対する罪悪感が高く、自ら無力だと感じやすいことがわかった」とワン氏は総括する。

「中国、インド、ブラジルなどは、消費者としてのフットプリントは比較的小さいにも関わらず、環境への意識が高く、自らの問題としてとらえているようだ。これらの国では環境問題が国民の健康に影響するという意識が普及してきている。水汚染や大気汚染などに関心を深め、地球温暖化についても配慮している」。

◆交通に対する意識

 アメリカは交通部門でも最下位だった。同乗者なしで自動車やトラックを定期的に運転する割合は56%と最も高く、公共交通機関を利用する率は7%で最低である。

 また、自転車や徒歩を利用するアメリカ人も一番少なく、逆に最も多い国は中国だった。「中国の自動車普及率の低さは無視できない。今後の上昇に伴って割合は下がる可能性がある」とワン氏は注意を促す。

◆環境に配慮した食事

 また食品部門では、週1回以上、牛肉を食べる人がほとんどの国で半数を上回った。牛肉は最も環境負荷が大きい食料である。割合が最も高かった国はアルゼンチン(85%)で、インドはわずか17%と最低だった。

 興味深い結果として、ドイツはボトル入りミネラルウォーターを消費する割合が最も高く、3分の2の人が毎日使っているという。また、魚や海産物の最大消費国はいまやスペインで、日本は減少傾向にある。「2011年の福島原発事故の影響もあるようだ」とワン氏は推測する。

 ワン氏は最後に次のように述べた。「グリーンデックス調査で、個人の消費パターンや環境への影響について意識の向上を期待している。まずは認識することが重要だ。消費者としての行動選択だけでなく、量そのものにも目を向けていってほしい」。

Photograph by Eugene Hoshiko, AP

文=Ker Than

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