太陽表面に1万1000個の磁気竜巻

2012.06.28
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太陽大気の中で渦を巻く磁気竜巻の3次元シミュレーション。

Illustration courtesy Wedemeyer-Bohm and VAPOR
 太陽の表面では、常に1万1000個の磁気竜巻が発生している可能性がある。しかも、それぞれがアメリカ国土と同規模の大きさだという。 新たな研究成果を発表したのはノルウェー、オスロ大学のチーム。宇宙と地上の望遠鏡観測データを分析し、太陽表面で超大型の磁気竜巻14個を発見した。非常に高温のプラズマが渦を巻いており、高さは約2900キロ、時速1万4500キロで回転している。

 太陽表面で発生する竜巻は2008年に兆候を把握していたが、実際に確認したのは今回が初めてとなる。「太陽大気中に、桁外れの高温プラズマを観測した。何かが起きていると思ったが、正体が掴めなかった」と天体物理学者のスベン・ウェデマイヤー・ベーム(Sven Wedemeyer-Bohm)氏は語る。

 調査範囲は太陽大気の一部だが、その結果から全体を推測すると、常に1万1000個程度の竜巻が発生しているという。

 コンピューター・シミュレーションの結果から太陽竜巻は、以前から正体不明の現象のカギを握っている可能性もあるという。研究が進めば、表面より300倍も高温の上層大気の仕組みを解明できるかもしれない。

◆熱の伝達

 太陽の薄い上層大気(コロナ)は、皆既日食で月が完全に太陽を覆えば肉眼でも見ることができる。

 1939年、当時の研究者は日食を利用してコロナの光を分析、摂氏200万度と推定した。表面の5500度と比べてはるかに高い。「光球から離れていけば温度が下がる。しかしコロナはその常識に反している。何かが熱エネルギーを運んでいるに違いない」とベーム氏は推測する。

 伝達役には、竜巻以外にも2つの候補が考えられる。1つは無数の微小な太陽フレア。現在の観測機器では見えないが、絶え間なく太陽から放出され、コロナを加熱している可能性がある。

 もう1つは、「アルベーン波」というエネルギーの波。時速1450キロで太陽の磁力線に沿って移動し、コロナにエネルギーを伝達するという。

 新説の磁気竜巻は大がかりな伝達システムだが、先行する2つの発想もベースになっている。

 ベーム氏のチームは、磁気竜巻の構造を説明するコンピューターモデルを開発。その結果は、口径1メートルのスウェーデン太陽望遠鏡とNASAの太陽観測衛星ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)による観測データとほぼ一致した。

 チームのモデルによると、太陽の磁気竜巻は、表面付近の高温の粒子が大気中に急上昇し、再び落下するときに発生すると考えられる。粒子の落下運動により太陽の磁力線に回転が加わり、渦が生まれるという。

 乱雑に回転する磁力線は数千キロも伸びてコロナに到達し、表面付近の高温プラズマを運び上げる。超大型の磁気竜巻は、約13分にわたり続くという。

◆他の恒星でも起こるか?

 ただし、現時点ではデータ不足で未解明の点もある。特に11年の太陽活動の周期で、数や強さがどう変動するのかわかってない。最近の観測で巨大竜巻の急増が確認されたが、2013年5月の極大期が近づいていることが原因かもしれない。

 ベーム氏のチームは現在、さらなる観測データの収集に努めている。十分なデータ収集まで、コンピューター・シミュレーションの結果は太陽系外の調査に活用するという。「磁気竜巻は、太陽だけの現象ではないかもしれない。半分の温度の恒星表面をモデル化しても、やはり同様の磁気竜巻が発生した」。

 研究の詳細は、6月28日発行の「Nature」誌に掲載されている。

Illustration courtesy Wedemeyer-Bohm and VAPOR

文=Dave Mosher

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